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第6話

 それから三日。  俺の頭の中は、とても静かだった。  たとえ理人さんがソファで隣に座っていても、心の声は聞こえてこない。  でもそれは、例の能力が失われたからではなかった。  理人さんが、俺に触れそうで触れない絶妙な距離を保っているからだ。  俺は、今でも理人さんが好きだ。  大好きだ。  他に好きな人ができたりなんてしていないし、神社で再会した地元の仲間たちとLIMEを交換したのは事実だけど、告白したりされたりなんてことは、もちろんない。  それでも、俺には理人さんとセックスできない確固たる理由があった。  それは、  心の声ダダ漏れ状態の理人さんと致したりしたら、一体どうなると思う!?  表の声だけでも十分エロ……かわいいってのに、そこに、 (あっ……佐藤くんの、おっきい……すき……っ)  とか、 (もっと、突いて。むちゃくちゃに、してぇ……だいすき……っ)  とか、 (あ、いくっ、いっちゃう……あいしてる……っ)  とかが加わるんだぞ。  そんなの、誰が耐えられるかってんだ!  十秒ももたずにイっちゃって、「早漏!」だの、「変態!」だの、蔑まれる未来しか見えない……!  でも、俺のへたれ下半身のせいで理人さんが離れていくのは、もっと嫌だ。  だから。  だから俺は、 「理人さん!」 「えっ……ええっ!?」 「しましょう!」 「は……?」 「セックス!」 「はあ!?」 「ていうか、します!」  理人さんと、セックスする……!

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