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「……礼二郎はさ、」 「へっ!? な、何!?」 突然柴が口を開いたので、礼二郎は心臓が飛び出しそうに驚いた。何を言われるのか分からず、思わず身構えてしまった。 (もう一回付き合おうって言われたら、俺はなんと答えればいいんだ……!! 二度も断ったら、もう後がないぞ!?) 「どうしてそんなに霊が苦手なの?」 「へ?」  全然、見当違いの質問だった。礼二郎はえっと、その、と言いながら呼吸を整え、うーん……と考えるそぶりを見せてゆっくりと答えた。 「……んーと、うちの父親ってホラー映画監督なんだよ」 「えっ、そうなの!?」 「うん。あんまり有名な作品はないけど……『|AV《あぶ》ない女優霊』とか聞いたことない?」 「あっ、ある! オカ研の先輩にその映画めっちゃ好きな人いるよ!」 「オカ研?」 「オカルト研究会」 「………」  何故柴視える柴がわざわざそんなサークルに入っているのか……色々と突っ込みたいが、後回しにすることにした。 「……まあ、そんなわけで昔から怖いモノにはある程度触れてきたんだよ。家のインテリアは母親の趣味でアダ〇スファミリーみたいな感じだし、ポスターとか映画の小道具とかいっぱい飾ってあるから」 「へえ、楽しそうな家だなぁ」 「友人たちにはおおむね好評だよ」  ちなみにその映画のお化け役が母で二人の出逢いだったらしく、わざわざ額に入れて大事に飾ってあるのだった。 「決定的だったのは、小さい頃に兄貴と二人で留守番中に、兄貴にその映画を観せられたのがトラウマで……怖いものが苦手になったのはそれからかなぁ」 「え、それだけ?」  柴は意外な事実にキョトンとした顔をした。

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