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「ちょっと伸びきってないだけだ。二度と口にするなよ」
睨んでくるその顔にもう一度言ってやろうとして、さすがに止める。
信じられないことにうまく入り過ぎていてまだ息をするだけでキツかった。
一瞬でそんなピンポイントでやられたことも、こんなチビ にここまでダメージを食らわされたことも……とにかく精神的なダメージの方もデカい。
だが、黙ったままなのを何と思ったのか獅子谷はしゃがんで様子を窺ってくる。
「大きく息をしようとするな。まずは浅く呼吸して落ち着け」
「うる、せ……」
背中を擦られて意地で払い除けると、獅子谷はフッと笑った。
「まともに食らったのに……やるな」
その顔にドキッとする。
綺麗過ぎてムカつくのに、また眉を寄せて堪えるあの顔が見たいとも思ってしまうのはなぜだ?
「とにかく、今日の業後、教室残ってろよ」
何とか立ち上がると、獅子谷も立って軽く言ってきた。
「うるせぇ」
「逃げんなよ」
「はぁ?誰が逃げるって?」
まっすぐ立つだけでもまだ痛いのに、聞き捨てならないセリフにこめかみがヒクつく。
いつもなら絶対無視するのに、この顔で微笑まれてギリッと歯を鳴らした。
獅子谷が腕にある時計に目をやると、チャイムが鳴る。
「次の授業は僕なんで、ちゃんと教室に居て下さいね」
「るせぇ!ぜってぇ行くかっ!!」
さっきまでと口調が変わったことにもイライラした。だが、
「あ、お腹痛いですか?じゃあ、保健室ですね」
そんなことを言われて更にイラつきは増して俺は意地でも教室へと向かった。
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