15 / 15

第15話

※長編版は、砂漠での「僕を処刑してくださーい!」のあたりがちょっとだけ違います(フウルはまだ義母たちが『塩の雨の噂』を流したことを知りません)そしてお風呂シーンには続きがありまして⋯⋯。 『長編版より続き』 「陛下を信じよう——」  フウルは深く湯に浸かって、緑の木々や赤い花をじっと見つめながらそう思った。  口元には自然に笑みが浮かんでくる。こんなに気持ちがいい時間を持ったことは今まで一度もなかった。 「なんて気持ちがいいんだろう⋯⋯」  そのとき——。  湯気の向こうに誰かの姿が見えた。とても背の高い男性だ。こっちへ向かってくる。ガウンを脱ぎ去り足元に落とした。全裸だ——。  ——え? もしかして、陛下? *****  その裸の人物は間違いなくリオ・ナバ国王だった。  ——どうしよう!  フウルはパッと両手で首を押さえる。  アルファとオメガは性が違う。つまりそれは男と女の関係に似ていて、裸を見られることはすごく恥ずかしいことなのだ。とくにオメガフェロモンが出る首元の素肌を見せることは、女性が胸をさらけ出すのと同じでものすごく恥ずかしい。  焦っているあいだに、湯煙を透かしても逞しさのわかる姿が、ゆっくりとこっちに近づいてくるではないか!  リオ・ナバ国王はフウルが湯船にいることに気がついていないらしい。南国の木々の大きな葉が邪魔してこっちが見えないのだろう。  ——隠れなきゃ!  と思って、キョロキョロと見回すけど隠れるところなんてなかった。  ——どうしよう? どうしたらいい? そうだ、潜ろう!  となぜか思ってしまった。大きく息を吸って、湯の中にぶくぶくと沈んでいく⋯⋯。  そのまま息を止めた。  じっと動かないで我慢する。  すると目の前に長い足が現れた。リオ・ナバが湯の中に入ってきたのだ。  王が体を沈める。逞しい腰が見えた、そして⋯⋯。  ——うわーっ! これって⋯⋯、これって⋯⋯?  湯の中でゆらり、ゆらりと揺れているのは王の男の部分だった。もちろんフウルにも同じものがついているけど、大きさと長さがまったく違った。  フウルの首がカッと熱くなった⋯⋯。 ※このあとはさらなる溺愛の連続(笑)が続きます。もちろんラストはざまぁ展開も! そして本編の後には濡れ濡れエッチなオメガバースエロ短編の『初夜編』と、とってもほのぼの『子育て編』の短編がついています。初夜編のリオ・ナバ王はエロくて、子育て編のリオ・ナバ王は可愛い五歳の息子に振り回されてあたふたしています。脇役のあの人とあの人がくっつきす。 Amazonで『偽花嫁と溺愛王』のタイトルで販売していますので、もしよかったら覗いてみてください。Amazonベストセラー1位(2022.2/2現在)  お読みいただき本当にありがとうございました。

ともだちにシェアしよう!