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第二幕 5.虎に耽溺⑥*
「なんっ、やかましわぼっ……ボケっ、あっい、やっ、そこっ」
舐められる前から指で責められていた胎内が、気持ちいい場所を引っかかれるのを心待ちにしていたように、景虎の指を締め付けた。
ローションを足され、指を二本に増やされ、本格的に責められはじめると、庄助の足の指が布団をシーツごと躙 るように、きつく踏みしめた。
「はあっあ……うぐ、ふっ……う、ぎっ」
布団の端を握りしめる手が汗で滑る。先月はまだ肌寒い日が数日あった気がするのに、こんなことで夏の到来を感じるなんて。
東京に来て初めての夏だというのに、こんなことになってしまったのは、何もかも景虎のせいだ。
行為が進むにつれて部屋の空気が茹だってきて、皮膚が熱くなる。シーツの背中に触れる部分が濡れている。
今日はほぼ乳首と尻しか触られていない。
いつも半勃ち状態で皮を剝かれて、そこから嫌と言うほど扱かれるペニスも、今日はなぜか放ったらかしだ。
そのわりに丁寧に愛撫してくる。いつもよりずっと優しく触れてくるから、焦れて焦れてたまらない。
「カゲぇ……ああっ、もうぅ」
はやく達したかった。いつもみたいに、余すことなく性感帯全部を攻められてドロドロにされて、圧倒的な快楽の波に攫われたかった。
たまらず陰茎に伸ばそうとした手を掴まれてそっと制されると、腰の熱がいっそう重くなる。
尻の穴とそこに満ちるローションが、指の抜き差しにより空気を含み、あられもない音を立てた。
「柔らかいな、マンコみたいになってきた」
「だまれ……! んぉっ、あ、ぃあ」
前立腺を胎内から指で押し、外側から親指で会陰を圧迫すると、しこりが指の間に挟まれて、内外から逃げることのない圧がかかる。
「あぎゅ……!」
庄助の背中のうぶ毛が逆立つ。強い快感が胎内から、下半身を中心に広がってゆく。
景虎が指の力を緩めると、じわりと波が引いてゆくものの、甘い熱は身体のあちこちに滞留してゆき、今にも堰を切って飛び出しそうだった。
「や、イキ……たァいっ」
よだれが出た。景虎に気持ちよくされると、穴という穴が緩んでだめになる。
庄助はすんすんと鼻をすすった。
「いいぞ。ケツの穴だけでイッてみろ」
「むりっ……むり……ぁああ~!」
そう言ってまた押される。ぎゅっと性感が集まって痺れ、離すとじわっと散ってゆく。
イケるわけない、もっと直接的な強い刺激がほしい。そう思っていたけれど、指が圧迫と緩和を繰り返すたびに、骨盤の裏に蓄積していく感覚があることに気付いた。
「うン……あぇっ?」
最初は微かで、気のせいかと思っていた。なのに、いつの間にかその感覚は大きく膨らみ、もう無視できなくなっている。
「あひ……!?」
いつもセックスのときに触れられてはいるけれど、ここまで指でしつこく解されたのは初めてで、腸から脳をじわじわと侵す、知らない快感に混乱する。
ペニスへの刺激で得られるものとは違うそれが、腹に溜まってだんだん制御できなくなってゆく。身体のどこに力を入れても散らせなかった。
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