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あぐあぐと、(うなじ)に感じる尖った犬歯の感覚。 立香を膝の上に抱え、べったりとくっついているオルタの、鋭く発達したの犬歯の仕業だ。 傷こそつかない甘噛みのものの、Ω(オメガ)という自分、そしてα(アルファ)のオルタという性の立場の関係上、どうしても気になってしまう。 「ね、ねぇオルタ……?」 「なんだ」 マイルームのベッドの上でそうして、どれほどの時間が過ぎたかはわからない。なにせ時計は立香を抱えるオルタの背後にあるのだから。 尖った感覚をいちいち拾い上げてしまうので、先ほどから立香の身体はピクピクと小さな震えが止まらない。「やめて」、と言うのだがオルタはなかなかやめてくれない。 「も、もしかしてお腹すいてるの? エミヤに何か作ってもらう??」 「いらん」 立香の首が解放されたのも束の間、すぐにオルタの舌が項を這った。 べろ、という脳に響く感触は、まだ慣れない。霊基を調節して爪を短くした指が、口内をまさぐる感覚も、まだ少し怖いところがある。 だが、(トゲ)だらけのこの人が、自分に痛いことはしない、と身体がわかっているので、素直に受け入れてしまう。今だってニュッと伸びてきた右の人差し指と中指を、従順に口内におさめてしまった。左手の方は、立香の内太腿をまさぐっている。足の付け根の際どい所を触られ、時たま長く鋭利な爪が己の中心をかすめるのが何とも言えない。 立香の口から漏れる息と声が、段々と艶めいていく。 「…っん、はぁ…、っぁあ、ん…、っふ 」 途端、オルタの鼻腔をかすめる艶やかで甘い匂い。思わずパッと口を離せば、立香が背中越しに振り替える。……頬を紅潮させ、甘い吐息をはきながら。 「噛んじゃ……ダメ、だから…ね?」 その一言がきっかけだった、と言えばそうかもしれない。その後なだれるように行為に及んだが、すっかり興奮しきっていたオルタには、その後しばらくの記憶がなかったんだとか。

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