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弁明はまえがきで、釈明はあとがきで、聰明でない言い訳はわるあがきで
【弁明】
恥の多い生涯を送ってきました。
太宰治『人間失格』より
と。このように、物語の冒頭に他の作品を引用する技をエピグラフと言う。ん? なんだ? 休み時間に我慢出来ずレンチンして食べた事がある? 米はパラパラ、海老はプリプリ? それはエピグラフでなく、エビピラフだ。便利だからって休み時間に勝手に調理実習室の電子レンジを使うな、せめて部室のにしろ。と言うか、我慢しろ。そもそも早弁なら出どころは解るが、冷食持参で登校していたのか? 羨ましいぞ。あと俺はピラフと炒飯はしっとりだと嬉しいな。
まぁ今みたくエピグラフをエビピラフと聞き間違えても良いが、決して覚え間違いはするな? 読書オフ会で「エビピラフに太宰治を使ってあると、それだけでもう期待感湧きますよね」とニコニコ顔で言っちゃって、しばらく太宰と自分の笑顔が嫌いになるぞ。
なぜいきなり頭に太宰治の話を持ってきたかと言うと、小説の書き方指南に“最初の書き出しが重要です。最初の一文がつまらないと、読者は読んでくれません”とあったからだ。つかみが弱いと客は逃げるぞって、そんな漫才師のアドバイスみたいな事をいわれてもだな? 俺は人より文章に触れてきた自負はあるが、所詮は凡庸な国語教師。一発勝負で人心に刺さる一文なんて書けるわけがない。毎年初回の授業の挨拶で、生徒の心を掴んでるのかだって怪しいんだぞ。そんなだからな、今や文壇や教科書のみならず、アニメでゲームで大活躍の太宰治先生のお力添えを頂いたんだ。
え? 夏目漱石の方がお札になった分有名だろうに、なんで他でもない太宰治にしたのかって? それは今から語る俺の話にぴったんこカンカンだったからだ。それと恥の多さに親近感あるしな。
最初の一文がクソつまらん小説だって、話が進むにつれて物語に引き込まれたり、最後の一文でトラウマ級の衝撃をくらう事もある。最終行に来ないと見えない景色もあるんだ。俺の話は徹頭徹尾つまらないだろうけど、頼むから最後まで付き合ってくれ。 な? 幼馴染のよしみでさ?
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参考文献
青空文庫 太宰治 人間失格
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コメント
エビグラフと誤字っていたら 教えてください
次回更新は3月の予定です
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