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買い物を終えて自宅に帰った後、憂凪さんについて教えて貰う事にした俺は黛さんが淹れた紅茶を飲んだ。 「あの人は俺がこの世界に入る時に世話になった師匠でな。俺より上の立場の人間だ」 「上の立場?」 「マフィアのボスって事だ」 「ま、マフィア!?」 そんなの漫画とかの世界にしか存在しないと思っていた。 というか、あんな感じのマフィアのボスなんて大丈夫なのか? 「…あんな感じで大丈夫なのか?って思ったろ」 「ま、まぁ…」 「あの人は殺す事に何の感情も持たない。怒らせれば死ぬしかない」 「…そんな人なのかよ」 「初めの頃、俺は殺されかけた」 呑気に衝撃発言をする黛さんに俺は普通に考えられないと思ったが、あの身体の傷はその時の物と考えれば納得出来る。 「…あの人も気が早いし、こんなの前々から準備して持ってたのかよ」 「気が早いって何が?」 椅子に掛けたいたジャケットの中から取り出したのは、“結婚祝い”と書かれた分厚い封筒とその後ろから顔を出したのは新品のゴム――、ゴム?!? 「な、ななな」 「今頃、あの人は良い事したなってニヤニヤしてんだろうな」 ――一方その頃 「いやぁ、今頃楽しんでくれてると良いな〜♡」 当の本人は、赤ワインを優雅に飲みながら楽しそうに笑っていた。

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