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ー友情ー16

 もう和也は望とその桜井についての話は知っている。 だが、こう話の流れでそうなってしまったのだから、ある意味、もう望の話を聞くしかなくなってしまったというところだろう。  しかし、そういう事について望がこうあっさりと答えてくれる筈がないと思っていた和也だったのだが、  望は空を眺めながらぼそりと口にし始める。 「ただ……告られただけだ……」 「……!?」  その望の言葉に和也は言葉にならないような声を上げる。 「こ、告られた!? って、アイツにか!?」  一応、和也は驚いてみるものの完璧に今の二人の状況を知っているのだから、完全に演技なのかもしれないのだけど、演技ではないのかもしれない。 こう本気の反応という所であろう。 そう俳優ではない限り人間というのはリアルの反応をするものだ。  現に和也は望が桜井に告白される所を聞いている。  それに和也は望に相談には乗ってやるとも言ったのだから、もうその事について聞くしかなかったのかもしれない。 だが実際こう聞いてしまうとショックなのは間違いない。  和也は本気で望の事が好きだ。  だけど友達関係でも居たかった。 仕事場では一緒に働いている仲だから今の関係を崩したくなかった。 それで今まで望に告白するのを我慢していたのだけど、今回の事については和也からしてみたら胸が締め付けられる思いなのであろう。  数日前に入院して来た桜井に先に告白されてしまったのだから。  そう和也からしてみたら、いとも簡単に告白されたという気分だ。  和也は望に告るのを悩みに悩んでいたのに、たった数日前に入院して来たばかりの桜井には速攻で告白されてしまっていた。 だから悔しい思いなのであろう。 それを上手く吐き出す事が出来ないのだから困っているという事だ。

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