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ー記憶ー83

 本当に助かって良かったと思う雄介。 でなければ今頃、この望の笑顔が見れなかったのだから。 「あ! せやせや! とりあえず、まずは洋服屋に行かんとなぁ。 何処行くー? デートの続きしたいんやろ?」  そう雄介の方はふざけて言うが、 「服屋に行ったら……とりあえず、お前の車取りに行かないとダメだろ?」 「あぁ! 完全に忘れておったわぁ! へ? でも、また、あの場所に戻らないといけないんか?」 「とりあえず、人気がなくなってからでいいし、それに、まだ、時間があるんだし、そんなに慌てる事はねぇだろ?」 「せやな! ほな、行こうか! ……ん」  雄介が歩き出そうと思った直後、唇に温かいものを感じたようだ。 「……望?」 「……とりあえず、お礼……のキス」  そう望は顔を俯け、恥ずかしそうに答えると、先に歩き始めるのだ。 「あ……ぅん……そういうこっちゃな」  そう呟いた後、雄介の方も望の手首を取り、自分の方へと引き寄せると、唇を重ねる。 「ホンマ……望が無事で良かったわぁ。望が無事やなかったら、今頃こないな事出来へんかったしな」  雄介はそう望に微笑みながら言うのだ。 「俺は……そのな……お前が絶対に助けてくれるって……思っていたからな」 「安心しとったのか?」 「ああ」  雄介は望の体を後ろから、望の存在を確かめるかのように抱き締める。 「ホンマに良かったわぁ、無事やったみたいでなぁ」

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