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ー記憶ー91
望の検査に携わった医師によると、一酸化炭素中毒で一旦、呼吸停止に陥った望。 その時に脳に一時的に酸素が行き届かなくなり、記憶に障害が出てしまったようだ。
人間は呼吸が停止してから五分がボーダーラインとされている。 それを過ぎて意識が回復したとしても、脳に障害が残ることがある。
望はその一つである記憶喪失になってしまっていたということだ。
検査を終えると、望の脳は記憶喪失以外には外傷的にも問題がないようで、一般病棟へと移される。
和也は望の病室へと点滴を持って入る。 しかし、まだ望が目を覚ましたわけでもなく、記憶が戻ったわけでもない。 ただただ呼吸器を付けて寝ているだけの望。 これがただ怪我をして入院しているだけなら、いつものように望のことを世話すればいいのだが、今回の入院に関しては記憶がない望。 だから、これからどう望に接して行ったらいいのか、というのを悩むところなのかもしれない。
今まで知り合いがこんな状態になったことがない。 だからなのか、本当にどうしたらいいのかが分からないのが本音というところだろう。
和也は雄介に既に望は記憶喪失であることを聞いた時から、これから望にどう接して行くべきかということを考えていた。
いつものように友達という関係で接していくべきなのでしょうか。 それとも看護師と患者という関係で接するべきなのか。
和也だって雄介と同じように、記憶の無い望になってしまって動揺してないわけがない。
友達だからこそ、そこについては本当に悩むところだ。
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