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ー天災ー21

 昨日もあんなことがなかったら、今頃真っ直ぐ家に帰っていただろう。 そして望との約束の時間まで、望の家で家事をしていたのかもしれない。 だけど今はこうやって望の家には帰らずに外でぼんやりしていた。  ここがもし人通りのある場所なら、ずっとこの場所に居ることが変だと思われるかもしれないが、今は本当に人通りがない。 だから変な目で見られていない。  しかし動きたいのに体は動こうとしない。 帰る場所があるのに帰れない。  でもここで何時間考えたって、全然考え事はまとまらない。 負のループだ。  人間というのはそういうものだ。  負のことが続くと、負はずっと続く。 負の連鎖。 今の雄介はまさにその状態なのであろう。 そういうことは、本当にいつまでも続いてしまうものだ。 「はぁー……」  今日はもう何回もため息が出てしまっている雄介。  気づくともう外は夕方になっていた。  カラスだって家に帰る時間だ。  そして空がグラデーションへと変わる頃、雄介のポケットに入れておいた携帯が震え始めた。 『18:10 まだ、終わらないのか?』

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