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ー天災ー73
雄介の方はそう言いながら、先に走って行ってしまった望の事を追いかける。
どうやら望の家は外見の方は大丈夫そうだ。
望は門の前で門を開けようとしたが、どうやら手では開きそうになかった。 多分、地震で門が歪んでしまって開かなくなってしまったのであろう。
「開かんみたいやな」
「だな……。 だったら、上から行くしかねぇのかな?」
「せやな」
二人はそう決めると門へと足を掛け、門をよじ登ると先ずは庭へと出る。
「あれ? 俺の家、案外平気なんじゃねぇのか?」
「街中じゃ、全壊しとる所もあるのに、とりあえず、建ってるのは良かったんとちゃうか?」
二人はそんな会話をしながら、長い庭を抜けて望の家の前にある玄関へと辿り着く。
「鍵は? ……と」
望はポケットの中から車の鍵と一緒に付いている鍵を出して早速開けてみた。
ドアの方は門の時とは違い、すんなりと開いたようだ。
中に入ると、先ずは玄関に飾ってあった花瓶が倒れているのが目に入る。 そしてその破片が玄関の床へと散らばっていた。
「外見の方は平気そうだったけど、中身はやっぱりこういう感じだよな?」
そう望は独り言を漏らしながら、部屋の中へと入って行くのだ。
先ずは一階にあるリビングから見てみることにしたらしい。
ソファやガラステーブルの方にはあまり被害という被害は無さそうだったのだが、問題なのはキッチンの方だ。
食器が入った棚は完全に倒れていて、床にはそのガラスの破片が散らばってしまっている。
「とりあえず、食器棚は買い直しだな」
「せやな……」
望は今度、一階の奥にある書庫へと向かうのだ。
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