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ー天災ー102

「せやな……ありがとうな。 俺も今日は流石に、もう何か拭く物が欲しかったし、助かったわぁ」 「そっか……」  そんな素っ気ない返事に雄介は転けそうになる。 何か望にしては何か足りないような気がしたからなのかもしれない。 そこで思ったのは「今日の望、何か変やぞ?」ということだったが、これ以上突っ込むと望に何を言われるか分からなかったから、辞めておいたようだ。 「な、望……」 「ん?」  雄介は望にそう声をかけると、望は雄介の方を向く。 すると雄介は望の耳元で話し始める。 流石の望も最初は和也達の前で雄介に引き寄せられることを嫌がったが、「お前の事やなくて……」という言葉に望は雄介の話に耳を傾ける。 「なんや、あの二人、仲よさそうになってきたんやな」 「ま、まぁな。 和也がさ、本宮さんのことを好きになったって認めてから、ずっと、あんな感じなんだけどよ」  そうにまにましながら、和也の方を見る望。 「……へ? え? それ、ホンマかぁ!?」  そう、最初は二人コソコソと話していたつもりだったが、望の言葉に雄介が声を上げるのだ。

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