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ー天災ー113

 そして連れて来られたのはICU室だった。  和也はICU室の外にある窓からICU室内を指差し、ついでに白衣を着るようにと望に促す。 「ゆ、雄介がさ……人命救助中に怪我して、今はICU室にいるんだよっ! ほら、あそこ!」 「……え?」  やっと話の全体像が見えてきたと思いながらも、白衣を着終える望。  そして和也が指差す方へと視線を向けると、そこには雄介の姿はなかった。 だがその指差した方向にいるのは、身体中に包帯を巻かれた人物だ。  まさか、まさか、まさか!? 本当にあの包帯でグルグル巻きにされている人物が和也の言うように雄介なのであろうか? でも確かに体型とか身長とはそうかもしれない。 「……それが本当に雄介なのか?」 「だから、そうなんだって! ここからは雄介だとは分からないかもしれないけどさ。 とりあえず、今は……ま、状態は安定してるみたいだね?」  和也は視線を反らしながら言う。  そんな和也の様子に望が気づかないわけがない。 「もしかして……雄介は?」 「と、とりあえずさ……大丈夫なんだって! って雄介を担当していた医者が言ってたよ! そうそう! あのな……人命救助してる時に、雄介は崩れて来たブロックの下敷きになったらしいんだ。 ま、そこは直ぐに雄介は救助されてここにいる訳なんだけど。 兎に角! 医者の話によるとさ、雄介は命には別状ないって言ってたし」  そう言葉を続けながら、和也は視線を彷徨わせる。 「でもっ! とりあえず、意識はまだ戻ってはきてないのかな?」  和也は誤魔化すような口調で続けるが、望は彼の言葉に疑問を抱きつつも、和也の情報によれば雄介は大丈夫だということに安心したようだ。

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