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ー天災ー115
やっぱりそうだ。
この音は雄介に付いている生命維持装置からだった。
「……う、嘘だろ!? な、和也さっきは雄介の容態は安定してるって言ってたじゃねぇか!!」
そう和也に向かい、物凄い剣幕で睨みつけるように言う望。
「……っ。 嘘吐いてゴメン……。 雄介は……本当にここに着いた時にはもうヤバい状態だったんだよ。 多分、望でさえも助けられる状態だったっていう状態だったしさ。 うん、実は他の医者も雄介は時間の問題だろうとも言ってたんだけど……こう望にどう説明したらいいのか? っていうのが分からなくて、だから、助かるみたいな事を言っちゃたんだよ」
和也だけの情報に頼らず、望自身がちゃんと雄介の事を見ておくべきだったと思ってももう遅い。
そうだ、和也をここで叱ったって雄介はもう戻っては来ない。
確かに今、雄介がしてる仕事は本当にいつ命を落としてもおかしくはない仕事をしている。
そうだ、毎日のように注意すべき所だったと今更ながらに後悔してももう遅い。
望は和也から離れると暫く雄介から離れる事はなく、雄介の事を眺めている状態だった。
でも何故か、恋人が死んだというのに不思議と涙が出て来ない。
望はそこで暫く動けないでいたはずなのだが、急に睡魔に襲われてしまい、雄介のベッドの上でそのまま寝てしまっていたのだ。
ーーーーーーーーーー
次の瞬間、望が目を覚ますとまたもや和也のドアップが目に入ってくる。
「望、大丈夫かぁ?」
「……へ? ああ……」
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