298 / 1471
ー天災ー119
病院の会議室は、望たちの居室のある棟とは反対側に位置していた。
春坂病院は入り口を入って一階と二階に診察室があり、地下にはレントゲン室がある。 右側の棟の四階部分には望たちの居室があり、二階には入院病棟が広がっていた。
会議室はその反対側にあり、渡り廊下を使って向かっていく。 病院全体を見下ろすと、形はまるでカタカナの「コ」のように見えた。
会議室に到着すると、先ほどの院内放送で呼び出された医師や看護師たちが、話し合ったり騒いだりしている。 部屋は大学の講義室のようで、前方には舞台のようなものがあり、その前にテーブルと椅子が並んでいる。
和也や裕実は望に呼ばれて、自分たちのテーブルの方に案内される。 望は何かに気を取られているようで、会議室に入るとすぐに別の方向へと向かっていくのだ。
望の様子に違和感を覚える和也。 確かに、ここで看護師までが集まって話をしていたのは、和也がここに来てからではなかったはずだ。 しかし、望はその事実を知っている。 それでも、ここは会議室であり、医師たちだけが会議をする場所であることを考えれば、望がその場のシステムを知っているのは不思議ではない。
和也は望の様子を気にしながらも、席に着く。
ともだちにシェアしよう!