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ー天災ー154

 その裕二の一言に望が反応しないわけがない。 望はその裕二の言葉に瞬時に裕二の顔を見上げる。  本当に何か方法があるのだろうか? 雄介がこちらに戻ってくる方法があるのだろうか。  いや、あるからこそ裕二は望にそれを提案してきたのだろう。 もし本当に雄介をこちらに戻せるのなら、その方法を聞いてみたいと思う。 「どうだ? 乗ってみる気はあるのかな?」  だが殺気までとは言わないものの、何かこう企みがありそうな雰囲気を出している裕二に望は警戒する。  そして、自分たちの恋をこんなにも応援してくれる親というのも珍しいような気もしてくる。 男女のカップルなら応援してくれる親はいるのだろうが、望たちの場合は男性同士だ。  裕二は一体、何を考えているのだろうか?  何か企んでいるような雰囲気なのだから、やはりここはタダでは教えてくれなさそうだ。 しかし、聞くだけ聞いてみようと思った望は、 「じゃあ、それを教えてくれよ」 「それは別に構わないのだけど……君はそれでいいのかな?」 「まだ、いいとは言ってねえだろ? ただ、先に何か親父が企んでいる提案の方を教えてくれって言ってるだけなんだよ」 「そこを分かってるってことは、その企みみたいなのは分かってってことだね」 「まあ、そんな怪しげな表情をしてたら、何か企んでるのは見え見えなんだよ……親父は顔に出やすいタイプなんだな」 「いや、それがわざとだと言ったら? そう、君に気付かせるためにわざと怪しげな雰囲気とか表情だとしたらどうする?」  そこで望は一度息を吐くと、 「そこはいいからさ……とりあえず、先にその親父の企みの方を教えてくれって言ってんの……」  と半分呆れ気味に言うのだ。 「じゃあ、そうだね。 君の彼氏……いい男っぽいから、一回抱かせてくれたら、私の知り合いに消防庁の方に関係者がいるから頼んであげてもいいよってことなんだけど……」  その裕二の提案に望は本当に呆れてしまったのか、息を吐いてその場から去って行ってしまうのだった。

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