336 / 1476

ー空間ー2

 今日からこの部屋では和也と二人きりだ。 本来なら、ここの部屋は二人きりの場所なのだが、以前は時折四人で賑やかだった。 しかし、今は雄介が帰ってしまったあの日以来、部屋には二人しかいない。 その結果、部屋は静かになったようにも感じられる。  和也は裕実に告白し、それから二人は毎日のように部屋でイチャイチャしていたが、今はそれもない。  裕実は今日から和也の下ではなく、別の医者の所で働き始めた。 「うー、つまんねぇのー」  和也は携帯でゲームをしているのか、携帯の画面を見ながらぼやく。 「まぁ、和也の場合にはいいじゃねぇか、会おうと思えば会えるんだからさ」  望もやはり、雄介がいないのは寂しいのだろう。 和也に対しても愚痴を零してしまう程だ。 「まぁなー」  和也の方は、何か余裕がありそうだ。 「俺の方はもう会いたくても簡単に会える距離じゃねぇんだよ……そんな事でだらけてんじゃねぇよ」 「ふーん……そんな風に言うようになったんだな……望も……」  望が愚痴ると、和也は弄り始める。 「やっと、分かったんだな。 恋人がいない寂しさってやつがさ」 「うるせぇ……」  望は和也の言葉に耳を塞ぎ、視線を外す。  和也は望とは長年一緒にいるだけあって、望の性格に関してはよく理解している。 だから恋愛に関して望をからかうと面白いということを知っているようだ。

ともだちにシェアしよう!