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ー空間ー24

 そしてよく考えてみると確かに和也は裕実と恋人同士になってからはイチャイチャとはしていたようには思えるのだけど、雄介が大阪の方に帰ってしまってからは、こう何となく望の前でイチャイチャするのは可哀想だと思い、やってなかったようにも思える。 寧ろ雄介が大阪に帰ってからは恋人らしいこともデートも裕実とはやってなかったようにも思えるのだ。 勿論まだ裕実を抱く事だってしていない和也。 和也の記憶が正しければ和也が裕実に告白してからはキスもしてないようにも思える。  そう和也がどうしても考えてしまうのは望の事だ。  確かに望の事が和也は好きだった。でもそれは親友でなのか? 本気で好きだったのか? そこまでは定かではないのだが、和也の中ではどうしても望の事を考えてしまう。 だから恋人になった裕実の事を忘れてしまっているのかもしれない。  今日の和也はいつもの時間で終わるだろう。  じゃあ今日こそは裕実の事をデートにでも誘おうと考えているのかもしれない。  そして和也は携帯を取り出すと裕実にメールを送る。 『今日、仕事終わったら空いてるか?』  そう和也がメールをすると裕実から直ぐに返信が返って来て、 『はい。 空いてますよ』  そう相変わらずの口調で返ってきた。 『ならさ、今日、仕事終わったらデートしないか?』 『あ、はい!構いませんよ』  そう返って来た返事に少し照れ臭さを感じる。  きっと電話の向こう側にいる裕実は今頃顔を赤くしているのであろうという想像をし久しぶりに自分は微笑ましい笑顔へと変えていく。 『なら、十八時に職員用玄関でな!』 『はい!』  そんな素直な裕実が可愛いと思う和也。  すると、そこに望が丁度お風呂から上がってきたようだ。

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