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ー空間ー43
「そうなんですかぁ? 僕は焼肉屋に来たことがなかったので、分かりませんけどね」
「へ? そうなのか? ま、まぁ、本当にここの肉食っちゃったら他の店のは食えなくなっちまうから」
和也はそう言うと焼けたお肉を裕実の小皿の上へと置いていく。
「熱いうちに早く食った方が美味いんだからな……まぁ、冷めても美味いんだけどさ、でも、やっぱ、熱いうちの方が美味いんだよなぁ」
そう和也は説明するのだが裕実の方は困ったような表情をしている。
「熱い時にですか?」
「あ、ああ……」
何かこう裕実は引っ掛かるような言い方をしていて、しかも、なかなかそれを口にしようとしない。
「あー、もしかして、肉嫌いだったか?」
そんな雰囲気の裕実に和也はそう申し訳なさそうに言うのだ。
「あ、いや……それはないですよ。 僕は逆に嫌いな食べ物はない位ですからね。 ただ……」
嫌いでもないのに、そう口を閉ざしてしまう裕実。
何となく楽しくなさそうな裕実に和也の方も困ってくる。
確かに焼肉屋がいいと言ったのは和也だ。 一応は裕実に承諾を得た筈だったのだが半分無理矢理強制的だったのかもしれない。 そこに反省し始める和也。 そうだ一方的な意見では相手の事を楽しませる事が出来なくなる事を今学んだような気がする。
和也は一旦、箸をテーブルの上に置いて裕実に向かって頭を下げるのだ。
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