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ー空間ー159
和也は今まで望達のことが心配で気を張っていたのだが、アナウンサーの情報で機内にいる人達は無事だということを聞いて安心したのか、体から力が抜けて床に座り込んでしまった。
だが、そのアナウンサーはまだハイジャック犯についての情報を述べていた。
「先程の一人の人間は殺人を犯し、今も警視庁が追っている人物だそうです」
それに反応した和也はもう一度、画面に出ている男の写真を見上げる。「どうりでさっき見た時に見覚えがあると思ったんだ」と思ったのかもしれない。
「どうりでさっき俺にぶつかってきた犯人に見覚えがあると思ってたんだよな……。 そういや、ニュースで何回も見たことあったみたいだな。 しかし、あの時、俺達がその犯人に気付いて捕まえていたら、望達は今頃、あんなことに巻き込まれてなかったかもしれないけどな」
そう和也は悔しそうに言葉を漏らした。
「和也さんのせいじゃないですよ。 だって、犯人は一人じゃなくて四人もいたんですから。 例え和也さんが一人の犯人を捕まえていたとしても、三人で犯行を続けていたと思いますしね」
そう裕実は和也をフォローしながら微笑んだ。
「そうだな……確かに裕実の言う通りだ。 それにもう起きてしまったことだし、俺がここで悔しがっていても仕方がないよな。 裕実……とりあえずフォローありがとうな」
和也は立ち上がり、しっかりとした足取りで裕実の肩に手を置いた。
「それに、今のところは雄介が頑張ってくれてるみたいだし、とりあえず雄介に任せてもなんとか平気そうだしな。 俺達は望達が助かるのを見守るしか今はできないんだし……とりあえず今は無事に着陸できるまで待つしかないか」
「はい!」
和也はそう言うと再びテレビ画面の方に視線を移した。
その頃、飛行機内では雄介があの犯人を捕まえた後、フライトアテンダントに声を掛けて操縦席のドアを開けるようにお願いしているようだ。 操縦席に入るには暗証番号が必要で、雄介はフライトアテンダントに近付いた。
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