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ー空間ー215

 そう雄介は望に告げると、奥にあるトイレへと向かった。  望は雄介に言われた通りにリビングへと入ると、部屋内は暖かかった。  望は昨日と同じ食卓の椅子に腰を下ろす。 すると目の前には雄介が飲んでいたコーヒーが置いてあった。  雄介は望よりも先に起きて、望と同じようなことを考えていたのであろうか? そうだ、望が下に降りてきた時にはそう呟いていたのだから。  望は頭を抱えてため息を吐く。  今日はもう雄介と別れなければならない日だ。  それが現実ではなく夢であってほしいと思いたい。  本当に好きだから、雄介と一緒にいたい。 そして別れたくないというのが本当の気持ちだ。  さっきだって、異様に雄介の様子がおかしかった。 ここに居て何か考え事をしている間はずっと切なそうな表情をしていたのに、望に会った途端、いつもの笑顔で望に声をかけていた。 しかも、雄介だって望がそこにいたということは独り言を聞かれていたと分かっていたはずなのに、そこを突っ込まずにトイレへと向かって行ってしまったのだから。  望も望だ。 雄介がいつもの調子で来たのだから、望もいつもの調子で答えてしまったのだから。  そうだ! 本当なら昨日と一昨日のように素直な気持ちを言いたかったはずなのに、雄介がいつもと変わらない感じで声をかけてきてしまったのだから、いつものように言ってしまったのかもしれない。  そんなことを考えていると、雄介がリビングへと戻ってきたらしく、望からしてみたら斜め後ろにあるドアが開いた。 「あ! 望もコーヒー飲むか?」 「ああ……」  いつもと変わらない会話のように感じるのだが、やはり今日はそれさえも不自然に聴こえてしまうのは気のせいなのであろうか?

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