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ー雪山ー9

 雄介が洗い物をして、望が片付ける。  最近、一緒に住むようになってから、気づけばそうなっていた。  ちょうど洗い物を済ませた頃、和也と裕実がお風呂から上がってくる。 「あ、悪ぃ……二人に洗い物やらせちまって……」 「え? あ、ああ、そこは別に構わねぇよ」  望は笑顔で答える。 「ん? あれ? 裕実どうしたんだ?」  望が気づくと、和也の腕の中でぐったりしている裕実の姿があった。 「え? あ、大丈夫だからさ。 裕実の奴、お風呂の中で逆上せちまっただけだからさ」  「ソファ貸してくれ」と和也は付け加えると、裕実をソファへと寝かせる。  和也は裕実をソファへ寝かせるとうちわを手にし、扇ぎ始める。  望はコップに水を汲んで和也に渡す。  和也がうちわで扇いでいると、裕実は気付いたようだ。 ゆっくりとだが、瞳を開けてきている。 「か、和也さん……?」 「あ、ああ……大丈夫かぁ?」  和也は裕実に向かって笑顔で答える。 「え? あ、大丈夫ですよ……って、僕は……お風呂に入ってたんじゃあ?」 「んー、とりあえずさぁ、水飲んでからにしないか?」  何があったのか分からないが、和也曰く、裕実は逆上せたということだ。  裕実はひとまず半身をソファへ起こし、和也から渡された水を一気に飲み干す。 「お前はさ、お風呂で逆上せちまっただけなんだけど、他に何か症状とかってないか? 例えば、気持ちが悪いとか?」  和也の言葉に裕実は少し考えてから、 「……はい! 大丈夫ですよっ!」 「そっか……なら、良かった……」  だが、裕実は完全に意識が戻ると体に違和感を感じたようで、 「か、和也さん! な、なんで、このままの状態で僕をここに連れて来たんですかぁ!?」  裕実はその姿を流石に和也以外の前では恥ずかしかったのだろう。 顔を真っ赤にしながら和也に抗議する。 「そこは仕方ねぇじゃんかぁ。 緊急な事だったんだしな……俺だって、そうなんだからよ」 「別に和也さんはいいじゃないですかぁ!? 僕の方は恥ずかしいんですからねっ!」 「別にここじゃあいいだろ? だって、男しかいねぇんだからさ」  和也は特に怒った様子もなく、平然と裕実とそのことについて言い合っているが、そこへ望が声を挟む。 「裕実の方も治ったみたいだしよ。 とりあえず、いいから服を着ろ! 服を! こっちは見たくもないもんを見せられてるんだからよ」  そう言いながら望は和也の顔目掛けてパジャマを投げ渡す。 「痛ってー! ったく、望はやっぱ、相変わらずなんだよな。 望って、ホント患者さん以外には優しくねぇの……」  和也は小さな声でブツブツと文句を言いながらも、望から受け取ったパジャマを着ていく。 「和也、何か言ったか?」 「言ってません!」 「ま、いいや。 とりあえず、二人は二階にある客間な。 場所は分かってんだろ?」 「あ、ああ、裕実の方もまだ復活したばかりだし、先に休ませてもらうわぁ」 「あ、ああ……」

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