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ー波乱ー44

 そう真っ直ぐな瞳で見つめられたら雄介だってたまったもんじゃない。 本来ならば望が言うように望の事を抱き締めたいのは山々なのだが今の雄介の状態では足が未だに思うように動かなければ痛みだってまだ走る時があるのだから。  確かに望が動いてくれるとは言ったものの望にだって動くのも限界があるだろう。  久々となれば尚更なのかもしれない。  そうなると最終的に二人とも力尽きる可能性がある。 「やっぱ……望……今日はアカン……」  流石の望も急に態度を翻した雄介の事が気になってしまっているようだ。  望は雄介の事を覗き込み雄介の真意を探ろうと試みてるようだ。 「ちょ、なんやんねんって……顔近いわぁ」  雄介からすると、かなり望の顔が近い所にあって今にもキスでもしそうな至近距離で望は雄介の事を覗き込んでいた。 「ちょ、ホンマなんなんやってー! ってかな、望にそんなに見つめられるとこっちが恥ずかしくなってくるわぁ……」  そう一方的に言う雄介なのだが望の方は未だに雄介の事を見つめたままだ。 「雄介……本当に俺の事好きか?」  その望の質問に対して、雄介は望の瞳を真剣に見つめ、 「好きに決まっておるやろ!」 「じゃあ、今日は何でヤらないんだ? こんなに俺の方がお前の事求めているのに……」 「それはやなぁ……」  雄介は今まで望の瞳に視線を合わせていたのだが、その質問となると望から視線を話してしまっている。 「何か俺に隠し事でもあるのか?」 「隠し事……って、何も……」 「まだ、言うのか……。 言葉でそう言っていても目が違うって言ってるように思えるんだけどな……? いったい、俺に何を隠しているんだ?」  その望の言葉の後に雄介は望の瞳を真剣に見つめるのだが、 「もう、今更、視線を俺に合わせたって遅いんだよ」  その望の言葉に雄介は観念したかのようにため息を吐く。 そう、やはり、ここまで問い詰められると望には誤解されたくなかったからだ。  だから雄介はやっとの事で口を開くことにしたらしい。 「……確かに望から求められるのは嬉しいところやねんけど、やっぱな、アレだ……体の調子が悪いしな。 むっちゃ、足は痛むし、こんな時に望の事抱きたくないねんって……それが、俺の本音かな?」  望はため息を吐くと、 「そんな事か……分かったよ……俺一人だけで舞い上がってただけだったんだよな? そうだったんだっけ……雄介は今調子悪かったんだったよな? 雄介の事、考えてなかった俺が悪かった……ゴメン……」  そう言うと望にしては珍しく雄介に向かって頭を下げるのだ。

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