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ー過去ー177

  今日は昼間の時間に甘い時間を過ごし夕方には終わらせると、二人は疲れてしまった体を引き釣りながらも一階へと向かい、とりあえず、お風呂には入ると体を洗ってから雄介が予約していたレストランへと向かおうとしていた。  雄介は先程、外に行く際に着替えていたのだが、望の方は先程のラフな格好とは違いスーツへと着替えたようだ。 「望……それじゃあ、いつもと変わらんやんか……」 「あのレストランに行くんだったら、流石にGパンじゃあ行けねぇからな。 現にお前だってGパンとかじゃねぇじゃねぇか」 「ん、まぁ……そうやけどな。 やっぱ、今度の休みの時には買い物にしようか?」  その雄介の提案に何故だか望は怪訝そうな表情をしている。 「あれ? 望ってそういう方が好きやなかったか?」 「前にお前とウィンドーショッピングに出掛けていい事なかったからな」  その望の言葉を聞いて雄介はあの時のデパート火災の事を思い出したのであろう。 「あ、確かにな……せやけど、もう、二度と流石に同じ事はないやろ? だから、大丈夫やって!」 「大丈夫だっていう根拠はあるのかよー。 俺はあの時死にかけたんだからな」 「まぁ、そうねんけど、そないな事言っておったら、これから先、何処にも行けなくなんで……。 トラウマっつうのは、自分で克服せんと、いつまで経っても克服なんか出来る訳ないやんか」  いつもはあまり真面目な事を言わない雄介なのだが、急に真面目な表情で望に言うのだ。 「まぁ、そうなんだけどさ」  それでも不安そうに言う望。 だが雄介のある一言で望の顔からは不安そうな表情が消えたようだ。 「望にまたそないな事があったら、絶対に今度の時には俺が守ったるし。 前回の時っていうのはさ、お前から少し離れてもうた俺の方にも責任がある訳やしな。 せや! そのトラウマ、俺と一緒にやったら克服出来そうやろ?」  雄介からのその力強い一言に望はため息を吐くと、 「そうだな。 今度の休みの時には一緒に買い物でも行くか?」 「そうしよ……」  雄介は望の手を取ると玄関へと向かい、 「今はレストランの方が先やんな」 「まぁ、そういう事になるよな」  二人は玄関を出ると車へと乗り込むのだ。

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