1482 / 2073

ー天使ー31

 それから、タイミングを見計らったように和也たちも車へと乗り込んできた。だが、琉斗が未だに望のことを見上げている姿が目に入る。 「和也ー、これは、どういうことだ?」  望は呆れたように和也に向かい、そう言った。望からすれば、琉斗が急に自分にべったりになった理由を知りたかったのだ。 「まぁまぁ、いいからー、いいから。って、よく分かったなぁ、俺が琉斗に何かをしたってことがー」 「こういうことできるのは和也しかいないだろー」  望がそう言うと、その言葉に反応したのは裕実だった。 「心外だなぁ。何で、僕じゃなく、和也がそう言ったんじゃないかって、望さんは言い切れるのかなぁ?って思ったんですけどー!」  裕実は笑顔でそう言い、どうやらふざけているようだ。 「……へ?ってことは、まさか、裕実が琉斗と俺との仲を良くしてくれたのか?」 「……んな訳ねぇだろー。俺が琉斗に言ったんだよ」 「だよな……」  望は納得したようだが、裕実はまだ不満げだ。 「でも、ヒントを与えたのは僕ですからねぇ」 「まぁ、確かに、そこはな……」  和也は望に話を向けながら言葉を続けた。 「まぁ、裕実がいなきゃ、二人を仲良くするきっかけはなかったのは確かだぜ。だから、裕実のおかげでもあるのは確かだからな……一番今回のことについて貢献できたのは裕実だと思うぜ……」 「そっか……裕実、ありがとうな」  いきなりの望からの感謝に、裕実は戸惑いながら答えた。 「と、とんでもないですよ。気にしないでくださいね」 「ああ……おう……」  二人はどうやら、こんな会話をすることに慣れていないらしく、ぎこちない様子だった。  そんな二人の間に割り込んできたのは和也だった。 「まったくー、二人してかたいんだよなぁ。別に友達同士なんだから……」  そう言いかけた和也だったが、 「でも、『親しい仲にも礼儀あり』って言葉がありますからねー」 「まぁ、裕実の言う通りだな」  二人にそう責められると、和也は舌打ちをして運転に集中し始めた。  そんな和也の姿を見て、望と裕実はクスクスと笑い合っていた。

ともだちにシェアしよう!