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ー天使ー103
丁度その時、車が信号で止まり、望は雄介のことを上目遣いで睨み上げる。
「あ、いや……そないなことじゃなくてな。 なんやろ? ほら、あん時、俺から無理矢理告白したようなもんやんかぁ、せやから、ホンマに俺なんかでええんかなぁ? って……ほら、やっぱ、一般常識的に考えてやな、男同士って認められてないやんか。 せやから、お前に告白してから思ったんやって、ホンマに俺でええんやろうか? って……後悔してたんやけど。 ま、『返事は待ってくれ』って言われた時には半分諦めておったんやけどなぁ」
「俺だって、流石に悩んださぁ。 だけど、なんだろ? 何故かお前にはちゃんと返事をしてやりたかったって感じだったんだよなぁ。 女性に告白された時とは何か違う感じがしたしよ。 お前からの熱意みたいなのが感じられたって感じだったのかな? だけど、その女性にはそんなもんも感じなかったし、後から考えるとさ、その女性……金目当てで俺に近寄ってきたような気もしないでもなかったようなぁ? ほら、大学生でも俺は医者の卵だったしな」
「ちょー、待てよ……。 な、その彼女はどこで出会ったん?」
「あー、合コン……?」
その望からの意外な言葉に雄介は目を丸くしていた。
「ご、合コン!? 望がか?」
「ま、俺は本気で興味なかったけど、数合わせとかで半分無理矢理連れてかれたんだけどな」
「ま、まぁ、良くある話しだわなぁ。 ほんで、相手は?」
「相手はOLだったかな?」
「ほな、年上かぁ」
「まぁなぁ。 年上っていっても大学生相手に三十歳以上の人はいなかったけどな。 俺にばっか質問してるけどさぁ、雄介の方はどうなんだよ。 合コンとかナンパとかしまくってたんじゃねぇのか?」
「ああー、まぁ、多少はな」
自分の方へと質問が向けられると、苦笑いを浮かべる雄介。
「せやけど、そんな暇はあんまなかったしなぁ、ナンパとか合コンは合わせても数回しかないで……」
「へぇ、意外だな」
「意外ってなんやねん。 俺は遊び人とは違ゃうからな……つーか、消防学校行ってる時にはホンマに遊んでおる暇なかったし、昼間は体力奪われるしな、疲れて体が動かんかったんやからなぁ」
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