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ー決心ー24

「ん……まぁ、そうなんやけどな」 「お、お前だって、俺で……その……いいのかよ」 「そりゃ、いいに決まっとるやないかぁ!」  そう雄介は即答するのだが、どうやら望はまだ不安そうな表情を雄介に向けてしまっていた。 「あの……そのな……結婚とかしなくていいのかなぁ? って……思ったんだけどよ」 「それを言うたら、望もやろ? 俺はええけど、望んとこは病院の後継ぎとか考えなきゃアカンと違うの?」 「あ、まぁ、そうなんだけどさ……」  その雄介の言葉に望は突然、言葉を止めてしまう。  雄介に言われるまで病院の後継ぎのことを考えたこともなかったことだ。  確かに雄介の言う通りである。 望には春坂病院の後を継がなきゃならない。 そう望は長男なのだから。  雄介の発言から悩むことになってしまった望。 「どないしたん?」 「お前がそんなこと言うからさぁ、現実に戻されちまったじゃねぇか」  望はそう言いながらベッドの上へと半身を起こすのだ。  そして一息吐くと、頭を俯かせる。 「望……? ホンマにどないしたん?」 「お前が変なこと言うから……」 「……ん? 後継ぎの話か!?」 「ああ……。 だって、そうだろ? 俺は長男だから、病院を継がなきゃならない。 まぁ、今は俺が居るから病院の後は継げるけどさ、雄介の言う通り、俺が結婚しなければ、俺の後に病院を継ぐ人がいなくなるってことだよな? 未来のことを考えないで遊んでいる場合じゃないんだよな……って思ってよ」 「……まぁ、確かにそうやねんけどな」  望にそんなことを言われ、やはり今は望を抱くという気持ちはなくなってしまったのか雄介も望の隣りへと座るのだ。 「確かに遊んどる場合じゃないねんけど……。 その……望は俺の事どう思っとるん?」  そう雄介にしては珍しく低く暗い声で望に質問をすると、 「それは……さっきも言っただろ? 俺は雄介のことが好きだって……。 それに、俺は昔、女とはいいことがなかったから、苦手というか……。 例えば、これから、女性と結婚しても俺は上手く行かないような気がするしさ。 それに、俺はお前と居るのが楽しいと思うし、それは、付き合う上で大切なことだろ?」

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