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ー決心ー31
「ま、そういうこっちゃ…… そんなことより、望の方は大丈夫なんか?」
「後、起きるまで五時間もあれば大丈夫だよ」
「ま、せやな。つーか、俺も望と一緒に風呂入るー」
そう語尾にハートマークが付きそうな声で言う雄介。
今まで望は素ではいられない状態だったが、今は行為が終わり、さっきのような素直な気持ちではいられていないらしい。素に戻った今では、雄介に向かい素直でいることができないようだ。
望は雄介から顔を反らすと、
「か、勝手にすればいいだろ……」
そう素っ気ない態度をする望。だが雄介の方は、そんな望に微笑み、
「望のそういう態度を取るってことは……ええってことやんな……」
そう言いながら、雄介は立ち上がり望の体を支え、一階にあるお風呂場へと向かう。
そんな雄介に安心したような望。
今の二人は本当に幸せなのかもしれない。雄介はあんな大変な仕事を辞めた上に、望の難しい性格を知りながらも寄り添っているのだから。
そして、少し前までは夜一緒に寝られる日が一日おきだったのが、今は毎日一緒にいられる。そんな生活は二人にとって幸せなことなのだろう。
二人は一緒にシャワーを浴びると、再びベッドへと戻る。
「ほな、おやすみな」
「ああ」
そう言うと眠りにつく二人。きっと二人は夢の中でも一緒なのかもしれない。二人の寝顔は幸せそうな表情を浮かべているのだから。
そして次の日。
フッと望が目を覚ますと、相変わらず隣には恋人の姿がない。その代わりに、部屋にはご飯のいい匂いが漂ってきていた。
これは以前から変わらないことだ。雄介は望と一緒に寝ても必ず先に起きて朝ご飯を作っている。
でも、たまには雄介の顔を見て目を覚ましたいと思うこともあるのかもしれない。
「ま、いいか……」
望は独り言を漏らし、下へと降りて行く。
望がリビングへと通じるドアを開けると、それに気付いた雄介が振り返る。そして望に向かい笑顔を見せると、
「おはよう!」
そんな太陽のような笑顔に、望は幸せを感じているようだ。
望は雄介に見えないようにクスリと笑い、椅子へと腰を落とした。
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