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ー決心ー59

「良かった。こんなにも早く助かってさぁ」 「ま、それは望の親父さんのおかげやし」 「ああ、そうなのか!?」 「ああ。望の親父さんが首謀者から、この場所を聞き出したらしいぜ」 「そうだったのかー。ところで、ここはどこなんだ? 俺さぁ、奴らに捕まった後、目隠しされてたからどこに連れてかれたか知らないんだよなぁ」  和也達は階段を上がりながら話をしている。 「それなら、この階段を上がったら分かるんと違う?」 「そう言わないで、教えてくれてもいいだろうがぁ」 「和也でも分かる場所なんやって……」  雄介の言葉に、望は思わずクスクスと笑ってしまう。 「望まで笑わなくてもいいだろうがぁ」 「ま、まぁ、雄介の言う通りかなぁ? って感じかなぁ?」  望の言葉に、和也は頬を膨らませながらも階段を上がっていく。 「あー!」  突然、和也が声を上げた。  その様子に雄介と望はさらに笑いを堪えられない。 「ほらな、俺が思った通りの言葉が出たわぁ」 「まったく……ここはあの倉庫街だったのかよー! そういや、車に乗っている時間が短かった気がしたかな?」 「ま、そういうこっちゃ。外見では人がいないように見えたけど、地下にアジトがあったみたいやな」 「そういうことみたいだな。確かに、地下に隠れてたら外からじゃ、人がいる気配なんて分かる訳ねぇし」 「でも、もうこんなことはねぇよ。親父が話つけたみたいだからさ」 「……ってことは、やっぱり、そういうことだったのか!?」 「ま、そういうことになるな。俺達の予想は当たっていたってことだな」 「ま、そういうことだよな。しかし、ある意味、犯人はいい奴らだった気がするよ。俺達のことを誘拐はしたけど、監禁だけで後は何もしてこなかったからな。だから、歩夢と話も出来てたしさ」 「歩夢と話が出来たってー? どんな話をしてたんだ?」 「別にー、アイツ、雄介のことが好きだから、その話をしてただけなんだよな」 「そうなんだ。相変わらず、歩夢は雄介を狙ってる訳なんだな」

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