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ー決心ー127
雄介はそう言うと、二階へと上がって行ってしまう。
望は仕方なく、玄関前で雄介のことを待っていた。
しばらくして、雄介が二階から降りて来ると、
「Gパンがこの一着しか無いんやわぁ」
「なら、Gパンも何着か買うか。服的に一番無難そうなのはGパンだしな」
「せやな……後はラフな感じのシャツに……」
「一応、学生なんだから、そんなんでいいじゃね?」
「せやな。けど、また学生に戻れるとは思ってなかったわぁ」
雄介は望の後を追い、車へと乗り込む。
「ま、確かにな……二十代後半になって、また勉強するとは普通は思わないだろうなぁ」
「せやせや!実際問題、ホンマに頭がパンクしそうやしなぁ。せやから、こうして望と居る時が今は休息の時間やわなぁ」
「ま、とりあえず、今は大変かもしれねぇけど……頑張ってくれよ。それで四人で働くんだろ?」
「ま、そうやんなぁ!望にそないなこと言われたら、気合い入ったわぁ!せやせや、今は大変やけど……学校卒業したら、望達と一緒に働くんやったな」
「そういうことだから、医師免許取ってくれよ。俺もお前と働けるようになるの楽しみにしてるからよ」
望にしては珍しく、前向きな言葉を口にしていた。おそらく、久しぶりの学業に少し落ち込んでいる雄介の様子に気付いたからだろう。
怪我をしたり病気になったりすると、人はふと弱気になることがある。雄介もその例外ではなく、珍しく弱気な発言をしてしまったのかもしれない。
望が車を走らせて三十分後、車はお店の駐車場へと入って行く。
ラフな服を選ぶのなら、デパートよりも、服業界で有名なチェーン店の方が適しているのかもしれない。
「なんや、意外に望もこういった庶民的な洋服屋知っておったんやな」
「あのな……金持ちだからって、ブランドもんとか着るとかいう勝手なイメージ作るなよな。俺は普通の服はこういうとこに来るんだよ。それにシンプルな服ばっかだし、安いしさ」
「そうやったん!?」
「そんなに目を丸くして驚くことはねぇだろがぁ。安かろうが高かろうが、服は自分が好きな服を着ればいいんだからさぁ」
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