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ー平和ー55
部屋に入ってすぐ左側に部屋があるのだが、そこには今は洋服置き場化している部屋がある。
そして奥まで行くと、まずはリビングがあり、そのリビングのすぐ横にもう一つ部屋がある。 今はその部屋を寝室にし、主にその部屋を二人で利用しているという感じだ。
和也は湧いた湯をカップラーメンに注ぎ、テーブルに座る。
和也がボーっとカップラーメンができる三分間は、ついテレビ番組に目を移すのだが、やはり今日は何か物足りないのは気のせいだろうか。
クイズ番組を見ていても、いつもなら裕実と一緒になって答えているのだが、今日はその相手はいない。
和也は溜め息を吐き、できあがったラーメンを食べる。
その時、テーブルの上に置いておいた携帯がバイブレーションでメールが来たことを知らせ、テーブルの上で振動していた。
和也は食べながら携帯を開くが、相手は裕実ではなく、迷惑メールの類であることに溜め息を漏らす。
確かに、こんな時間に恋人からメールが来るとは思ってはいないのだが、流石に迷惑メールだと誰しも溜め息が出るだろう。 恋人じゃなくても、せめて雄介や望であれば、溜め息は出なかったのかもしれない。
和也は食べ終えたゴミをゴミ箱へと捨てると、今日は一人でお風呂場へと向かう。
いつもなら裕実と浴槽に浸かっているところだが、今日は簡単にシャワーで済ませ、早々に布団に入る。
布団に入ってからは日頃の疲れがあったのか、和也はすぐに夢の中へと落ちていった。
それから何日かしたある日。
今日は和也も裕実も同じ時間に仕事が終わり、今はお風呂から上がってソファで寛いでいると、裕実は和也のことを見上げて、
「和也、今度の休みの日、和也が雄介さんを連れてどこかに行っててもらえませんか?」
そんな突然の裕実の言葉に、和也は目を丸くする。
「……へ? 俺が雄介を!?」
「お願いしますね」
裕実は和也のことを見上げ、手を合わせるのだ。 そこまで裕実にお願いされたのなら、断ることはせず、
「分かったよ……。 何をするかは分からねぇけど、とりあえず、俺は雄介と一緒に行動すればいいんだな?」
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