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ー平和ー77
「そうですね。 って、吉良さんは歩夢君に何を書いたんですか?」
「僕は普通にさっき君が和也に送った文を少し変えて送っただけだよ。 ねぇ、こうなったらさ……君の彼と歩夢がどちらが先に僕達のことを探すことが出来るか賭けしてみようか? そうだねぇ……?」
そう朔望は裕実に近付くと、裕実の顎を人差し指で持ち、
「もし、先に歩夢が来た場合、君の体ってのはどう?」
そんな朔望の行動に裕実は後ずさりしようとしたのだが、裕実の後ろにはベッドがあってこれ以上下がる事が出来ないようだ。
「ちょっと、止めて下さい! それに今の状況を考えて下さいよ! 賭けとか言ってる場合じゃありませんから! 寧ろ、助かるかさえも分からない状況なんですからね」
裕実はそう言いながら朔望の手を跳ね除けるのだ。
「冗談だよ……冗談……」
「そ、それに、吉良さんには今は歩夢君が居るんですから! 僕なんかより歩夢君を大事にして下さいよっ!」
「分かったって……」
朔望は再び窓際に向かい、
「もう、こんな時間になってたんだ……もう陽が沈みかけてるよ」
朔望は腕時計へと視線を向けると、既に時間は十六時半を越えていた。
「陽が完全に暮れてしまうと、色々と厄介かもね。 さっき僕が伝えた春坂にあるシンボルタワーと富士山も見えなくなってしまうだろうし。 あ、いや、シンボルタワーの方はライトアップされると思うから見えるのかな? まぁ、後はあの小さな公園しか目印がないって事になるのかなあ。 まぁ、”仲良し公園”なんてありきたりな名前だし。 もしかしたら、今日中に見つからなかったら、僕達の命も怪しくなるかもしれないよ。 今はまだ、犯人達は僕達のことを殺しには来ないけど、夜になったら、殺しに来るかもしれないしね。 昼間に僕達の死体を運べば見付かる可能性が高くなるけど、夜なら、この住宅街でも人手は減る訳だし、誰かに見付かる可能性は昼間に比べたら減るだろうから、殺しに来るなら夜だろうって思う」
「そうでした。 まだ、僕達は助かった訳ではなかったんですよね」
「そういうこと……。 犯人達に殺されるのが先か、和也や歩夢が探しに来てくれるのが先か? ってことになるのかな?」
朔望はもう一度、窓際から窓の外を見るのだが、やはり和也や歩夢の姿はまだないようだ。
その頃、和也は警察に向かい事情を説明すると、流石に事件生があるということが分かったのであろうか、やっと警察も動くことになったのだが、和也は一緒に警察と動ける訳もなく別で行動を始めたようだ。
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