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第35話 憂太の結婚観
何をどこから聞いたら良いのかと悶々としながら映画館を出ると、すっかり日は落ちて夜になっていた。
普段なら駅までの道は街灯の灯りしかないのに、今日はクリスマスに向けて装飾されたイルミネーションたちがキラキラしてロマンチックだ。
「外さっむ。あー俺にもサンタさん来ねーかなー」
「湊はもう大人だから来ないね」
「わかってるよ、改めて言われなくてもさー」
何歳になってもサンタクロースからプレゼント貰いたいだろと思いながら口を尖らせる。
「もう、サンタじゃなくていいから、早く冬休みが来てほしい」
クリスマスの時期と大学が冬休みになる時期はほぼ同じで、冬休みになれば2週間ぐらい何もせずに過ごせる。
「もうちょっとじゃん。湊は年末、実家帰るの?」
「んー帰るけどー、実家帰るより憂太とゲーム大会開催してる方が楽しそう」
「なにそれ」
「年越しそばそば食べながら朝までゲームして、初日の出見てから初詣行くの」
「あはは。楽しそう」
「でも今年は帰んなきゃなんだよなー」
「なんで?」
「兄ちゃんがさ、結婚の報告とか色々したいし帰ってきてって」
「うわ、めでたい報告!いいな、結婚」
憂太は兄の結婚に対してなんとなく良いなと言ったのかもしれない。
けれど、同性同士は法律上、結婚できない。
憂太の「良いな、結婚」という言葉を聞いた瞬間、一気に緊張した。
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