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【番外編②】夏の終わり/憂太の過去(5)
※憂太視点で話が進みます※
※現在の憂太は、麻生さんの手紙を見つけてから、湊に「今から家に来て〜」と電話をかけています(湊は「急にどした?」となっています)※
麻生さんと恋人になり、1週間が経とうとしている。
この期間の内にした恋人らしいことといえば、電話を2度して、季節限定のパンケーキを食べにデートしたくらいだ。
といっても、電話は麻生さんが突然かけてきたから取っただけで、話を聞いているうちにいつの間にか眠ってしまっていたし、パンケーキを食べに行くと男が全然いなくてすごく恥ずかしかった。
会うと自然に手を繋いでくる麻生さんは恋人として、先に進みたがっているようだった。
それでも、なぜだか手を繋ぐ以上のことをする気にはならなかった。
正直、麻生さんは可愛い人だと思う。
男なら誰だって付き合いたいだろう。
それなのに、なんとなく感じ続ける違和感がある。
本能的に長く一緒にいることができないと感じる。
だからか、恋人として好きになろうと思えば思うほど、そんなことをしている自分に嫌気がさしてくる。
たった1週間のあいだ、朝起きてから夜寝るまでずっと考えていた。
さすがに、こんな気持ちで恋人を続けるなんて良くないと思って、麻生さんと会う約束をした。
会ってすぐに、僕から「付き合うことはできない」と伝え、別れ話を持ちかける。
始めこそ「嫌だ」と言われたものの、思ったよりもあっさりと別れだった。
「(隼人くんと別れることになって、寂しかっただけなのかもなぁ)」
別れ話からの帰り道にふと、この付き合った期間は麻生さんの気の迷いだったのかもしれないと思うと、どんよりと重たかった心が軽くなった。
それからというもの、定期的に取っていた連絡も途絶え、何もなかったかのような穏やかな日々を過ごし、高校最後の夏休みは終わりを迎えた。
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