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戀する痛み 1
*
窓の外に見える木々からは、葉がすっかり落ちてしまって、剥(む)き出しの枝が寒そうに風に揺れている。
空は少し灰色の雲に覆われて、その雲の隙間から青い色が覗いている。
太陽の光が雲の隙間から射し込んで、冷えた地面を、木々を、空気をほんの少しだけ温めている。
もうすぐ本格的な冬がやってくる。
悠貴さんと出会って、付き合うようになってから、二度目の冬がくる。
最近の悠貴さんは相も変わらず、診察だ手術だ学会だと大忙しで、ボクはボクで研修が忙しく、なんとか初期研修がもうすぐ終わる。
春からは後期研修に入るため、今まではローテーションで回っていた診療科を、今度からは希望する科を決めて、専門的に学ぶことになる。
ボクはもちろん、悠貴さんのいる脳外科を希望していた。
周りからは小児科が合っていると言われるが、そもそもこの病院を希望したのが悠貴さんに一目惚れしたからだし。
悠貴さんみたいなお医者さんになりたいって、憧れもある。
だから悠貴さんと同じ脳外科を希望した。これはずっと前から決めている。
それに悠貴さんが本当に忙しいから、同じ脳外科医になって悠貴さんをサポートしたいという思いもあった。
ボクのその選択に悠貴さんは少し呆れながらも、嬉しそうに笑ってくれた。
今までは科が別々だったから、なかなか会えなかったけど、春からは悠貴さんが上司になるから、毎日悠貴さんに会える。
もちろん仕事もちゃんとやるし、勉強もしっかりする。
悠貴さんの傍で、悠貴さんの知識と技術を学びたいと思うし、少しでも支えたいと思ってる。
だから、ボクはこの選択が正しかったんだと、後悔はしないと決心していた。
悠貴さんの傍にいたい。
仕事でも、プライベートでも、いつも一緒にいたい。
ボクのその想いを悠貴さんは判ってくれている。
縋(すが)るように、捕まえるように。
ボクは上にのしかかっている悠貴さんの背中にしがみついた。
背中に床の冷たい硬い感触を感じながら、全身を悠貴さんに愛撫されて、体の全部が気持ち良さに壊れそうになっていた。
悠貴さんに抱かれるのは、久しぶりだった。
奇跡的に今日は悠貴さんの時間に余裕があって、ボクもそんなに忙しくなかったから、久しぶりに資料室に連れ込まれて、一時の逢瀬となった。
といってもそんなに長くは仕事を抜けられないから、30分くらいで戻らなきゃいけない。
それでも、ほんの短い時間でも、こうして悠貴さんを独占できることが、嬉しかった。
「・・・んん・・・悠貴さぁ・・・!そこっそこ・・・ダメ・・・」
「くすくす・・・薫、ここ弱いね」
そう言って悠貴さんは、ボクの感じるところを狙って、腰を押し進めてくる。
悠貴さんの大きいのが、ボクの小さな穴を押し広げて侵入(はい)ってきて、気持ちいい箇所を狙って激しく突いてくる。
「ゆうきさぁ・・・やだっだめっ・・・いっちゃぅ・・・」
体の奥深くから突き上げてくる異常な快楽に、堪えられなくて、ボクは悠貴さんの背中にしがみついて、着たままの白衣をきつく掴んで、頭を左右に振った。
悠貴さんはボクの両足を肩に担ぎ上げて、ぐっちゃぐちゃに挿入(い)れながら、叫ぶボクの頬に流れる涙を舐めてくれる。
「薫・・・可愛い・・・いいよ、イって」
「やだ・・・ボクばっかり・・・!」
「くす・・・オレももう限界」
そう言うと、悠貴さんは更に腰を押し込んできて、ボクの足を更に大きく広げさせて、いきなり腰のスピードをあげて、ボクの中を蹂躙(じゅうりん)する。
少し前にイッたばかりなのに、お腹の奥深くから、快楽が迫り上がってきて、背中がゾクゾクして、手足が軽く痙攣(けいれん)するように震える。
「ひゃ・・・ぁぁん・・・!」
Yシャツをまくりあげられて剥き出しになっていたお腹に、さっき出した精液の上にまた射精してしまう。
いつもいつも、こうやって悠貴さんにいっぱいイかされてしまう。
本当は悠貴さんをイかせてあげたいのに、いっつもボクが先に、ボクばっかりイってしまう・・・。
悠貴さんは気にしなくていいって言うけど、薫がイってくれるほうが嬉しいって言ってくれるけど、でもやっぱり・・・。
そんなことを考えながら、ボクはイッた衝撃で全身がガクガクと震えて、どうしようもなく収まらなくて、悠貴さんの背中にしがみついて強く引き寄せていた。
悠貴さんはそんなボクの仕草を邪魔することなく、深く腰を押し込んでボクにしがみつかれたまま、そのままボクの中で出した感じがした。
ちゃんとゴムをつけてくれているので、ボクの体内に注がれたわけじゃないけど、何となく悠貴さんの表情でわかる。
少しだけ眉根を寄せて、大きく呼吸を吐き出して、その後ボクのことを見つめて微笑んでくれる。
口唇も腕も足もガクガク震わせているボクを抱きしめて、悠貴さんはずるりと中から出ていく。
同時にボクは悠貴さんにしがみついていた手を放して、悠貴さんが体を起こすのをぼうっとした頭で見ていた。
ちらっと目をやると、つけていたゴムを外してティッシュに包んでいるのが見えた。
出したばかりなのに、まだまだ元気な悠貴さんのが見えて、思わず期待に体がすくんで、唾を飲み込んだ。
あの大きいので犯して欲しい・・・もっと、もっと奥深くまで突っ込んで、犯して、壊して欲しい・・・。
そんなことを考えていたら、悠貴さんが新しいゴムを付けているのが見えた。
思わず、溢れた唾を飲み込んだ。
もう一回するつもりなのかな・・・。
そんな期待に満ちた目で見ていたら、ゴムを付け終わった悠貴さんが、太くて逞(たくま)しい腕でボクを抱き上げて、あぐらをかいて座っている自分の上に、ボクを座らせた。
「ゆう・・・きさん?」
「薫・・・自分でいれてみて」
「え?!・・・え?」
「自分でいれて、動いて」
そんなこと、したことないのに?!
そう抗議したくても、悠貴さんがボクを試すようにニヤニヤ笑っているのを見て、少し意固地になってしまった。
ボクは悠貴さんの屹立(きつりつ)している太いのを触って、自分のぐちゃぐちゃになっている穴に、先端をあてがう。
少し腰を落とすと、先端がゆっくりと肉壁を割って中に入ってくる。
「うん・・・ふぅあ・・・」
「ゆっくりでいいから」
「は・・・はい・・・」
悠貴さんの大きな手がボクの腰を支えてくれて、覚束(おぼつか)ないボクの体を誘うように、ゆっくりと、少しずつ下へと落としていく。
悠貴さんのが、太くて固いものがボクの中へとゆっくりと、ずぶずぶと入り込んでくる。
入り口が刺激されて、目尻に涙が滲(にじ)む。
泣きたいわけじゃないけど、反射的に出てきてしまうその涙を、悠貴さんはそっと舐めてくれる。
中の深いところまで、じんわりとお腹いっぱいに圧迫されて、快感がじわじわと体を蝕(むしば)んでいく。
「ふぅん・・・あはぁ・・・ゆうきさぁん・・・」
悠貴さんのが根元まで入るくらい腰を落として、動いているわけじゃないのに、身体中に快感が浸透していく感覚に思わず声が漏れた。
悠貴さんは嬉しそうに微笑むと、ボクの頬を両手で包み込んで引き寄せて、そっと口吻けをする。
舌が歯を割って中に入ってきて、舌を搦めとられて強く吸い上げられる。
「んんっ・・・あああっっやぁ・・・ダメェっっ!」
舌を強く吸われたまま、悠貴さんが器用に腰を動かして、ボクの中を激しく突き上げてくる。
ぐっちゃぐっちゃと濡れた音が、鼓膜を犯す。
「好き・・・悠貴さん好きっ・・・ああんん・・・」
「オレも・・・愛してるよ、薫・・・薫だけ・・・」
「うん・・・うん・・・嬉しい」
悠貴さんの腕がボクの膝裏を支えてくれる。
ボクはかかとを床につけて、悠貴さんの腰の動きに合わせて、体を上下に動かす。
中に、奥の奥に悠貴さんのが入ってきて。
いっぱいいっぱい気持ち良くて。
いっぱいいっぱい好きと言ってもらえて。
嬉しくて。愛おしくて。幸せで。
幸せで。
この時、死ねれば良かったのにと。
渇望した。
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