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あれから、数ヶ月が過ぎた。 自分達の雇い主である御月堂が代理出産を依頼したあのオメガが穏やかに過ごすためだけに雇われた。 全ては、御月堂の跡継ぎを産むためだけに仕事を全うするだけだった。 ところが、来たオメガは誰にも対しても警戒していて、常に肩を上げているように緊張した面持ちであったが、同時に望まれた仕事であるお腹の子が大丈夫であれば、自分のことはどうでもいいという儚さと危うさを持ち合わせていて、ある意味目が離せなかった。 しかし、その目が離せないおかげもあって、強ばらせていた顔が急に綻んだ時は、誰もが心を鷲掴みにされたものだ。 仕事ではなく、個人として仲良くしたい。 それは特に安野が、いや安野は初めて会った時から心を奪われていたようで、必要以上に構い、周りが窘めるほどだった。 けれども、そんな毎日が楽しかった。 楽しくて仕方なかった。 ──あの御月堂の婚姻相手が来るまでは。 蜃気楼のように儚げに笑うオメガが消息を絶った時、どっちにしろ代理出産をするオメガがいなくなったのであれば、本来であれば自分達は解雇されるのだが、それを押し切り、図々しくも居座っていた。 ただの雇われ者がそのような歯向かう行為は許されるものではない。だが、御月堂はそれを許してくれた。 あの方がそうしてくれるとは思わなかったが、恐らくあの方もあのオメガが帰ってくるのを待っているのかもしれない。 帰ってくるなんて保証はないというのに、皆が皆待ち続けていた。 そして今日も、マンションの一室でいた頃と変わらないような仕事を全うしていたが、覇気が感じられなかった。 どこからため息が聞こえたようなものも聞こえた。

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