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雪だるまの前に来ると、小口が昨日と同じく、大河を抱っこをし、小口が拾ってきてくれた目となる石、それと口の部分も拾ってくれていたようで、枝を雪だるまにつけていた。 左右の目が少しずれているが、それはご愛嬌だ。 「はい、完成〜。大河さま達が拾ってきた枝、いいのを拾ってきましたね。可愛いのではないでしょうか」 「大河、初めて作った雪だるま、本当に上手にできたね」 「ああ、見事なものだな。初めての雪だるまが大河が作ったもので良かったと思える」 それぞれの賛辞を送られて、大河は満更ではなさそうに宙ぶらりんとなった両足をぶらぶらと振っていた。 大河を下ろし、入れ違いに御月堂が小口がいたところへ赴き、興味津々に眺めているのを一歩後ろで見ていると、「一つ訊きたいことがあるのですが」と小口が言ってきた。 「雪だるまに巻いていたのが姫宮さまのだと仰ってましたよね」 「ええ、はい」 「じゃあ、そのマフラーはもしかして、御月堂さまのですか?」 「えっ、まぁ⋯⋯はい、そうですけど⋯⋯」 「へーへー、ほうほうなるほどー」 「⋯⋯な、なんでしょうか⋯⋯」 「結果的に良かったじゃないですか」 「結果、的に⋯⋯」 小口が言った意味がすぐに分からず、反芻していた時、ふと分かってしまい、顔を赤くした。 その姿をちょうど見られてしまい、御月堂がまた小口を叱責し、大河が守ろうとしてなのか、姫宮の足にしがみついては小口のことを威嚇するかのように見ていた。 それでも小口はあっけらかんとし、さらに怒らせる火種を撒くものだから、特に御月堂を窘めようと努めた。 あの時は大変だったと思ったが、楽しい思い出の一つになったと振り返り、また雪が降らないものかとことある事に窓を眺める習慣がついたのであった。

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