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第139話

「まぁ! サクナウロの紅茶を? 今、サクナウロの紅茶がとても流行っていますのよ」  さすが、ロランヴィエル公爵は流行に敏い、とメリッサがキラキラと瞳を輝かせて紅茶を眺める。サクナウロといえば紅茶の名産国だ。バーチェラの貴族にも愛飲している者は多いが、今は殊更夫人方の間で流行っているらしい。 「ふふふ、とても美味しいわ。それに、アシェルお兄さまがお好きそう」  美味しい紅茶も嬉しいが、アシェルが愛されている証を見ることが何よりも嬉しいとばかりにフィアナが口元を緩める。その姿にアシェルは胸の内で首を傾げた。  どうしてフィアナは、そこまでアシェルが〝ルイと結婚して幸せになる〟ことに執着するのだろう。確かに、ロランヴィエル公爵家は王族にも縁のある大貴族だ。地位も名誉も金も溢れるほどに持っている。縁を結ぶには喉から手が出るほどだろう。もしもアシェルとルイが結ばれることに執着しているのがメリッサであったなら、アシェルはまだ納得できた。しかし、フィアナとなると途端に理解ができない。

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