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第22話 銀狐、謝る 其の一

          ***  懐かしいな。  そんなことを思いながら(こう)は、ゆっくりと目を開けた。  どうやら昔の夢を見ていたらしかった。  白竜も自分もまだ子供の時だ。  自分の方が年上だからと、白竜に対して先導を切って、色々と面倒を見たがっていたことを思い出す。  頭はまだ、ぼぉうとしていた。だがずっと感じていた嵐のような色情はすっかり消え、身体の怠さも消えていた。  ふと気配を感じて視線を向ければ、寝台の縁に突っ伏すようにして眠る男の姿がある。  そういえば夢の中で、ちびも寝台の同じ場所で眠っていたことを思い出した。姿形も気配も違うというのに、どうして白竜と姿が重なるだろう。  白霆(はくてい)の手に導かれて、白濁と淫潮を吐き出して気を失った後、熱を出してしまったことを晧はなんとなく覚えていた。熱冷ましの薬を口移しで飲ませてくれたことや、額の布巾を甲斐甲斐しく何度も替えてことも、薄っすらと覚えている。身体がすっきりしていて衣着がさらりとしているのも、きっと白霆(はくてい)が身体を拭いて着替えさせてくれたからだろう。   (……どうして) (……いくら強力な媚薬の所為とはいえ、あんな……!)    自分の痴態をありありと思い出す。  何故自分が許婚竜から逃げたのか、その理由を根本から覆す出来事だった。自分とは大きさも太さも遥かに違う白霆(はくてい)雄蕊(ゆうずい)に、助けてと自ら進んで縋るように己の物を擦り付けた。  あの気持ち良さはきっと忘れることは出来ないだろう。これも媚薬の効果の一種だと初めに説明したのは白霆(はくてい)だ。確かにこれを常用されてしまえば薬の虜に、そして調教者の虜になってしまう。  媚薬の作用とはいえ、白霆の前で何故あんなに無防備でいられたのか、晧には分からなかった。  そして彼がどうしてここまでしてくれるのかも分からなかった。医生の弟子として、熱を出してしまった者を放って置けなかっただけなのかもしれない。あのまま無理矢理強姦されても文句の言えないことを、自分はこの男に仕出かしたというのに。  

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