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先輩の秘密
恋をした。
柔らかく微笑みかけながら、缶コーヒーを手渡してくれたあの人に。
薄桃色の頬、血色のいいふっくらした唇、透き通るようなきめ細かい肌。
それに。
「龍一くん、大丈夫? なんか今日はぼーっとしてるね」
よく見なければわからないけれど、微かに膨らんだ胸と、全体的に華奢なくせにそこだけむちっとした尻。
真っ白な半袖Tシャツと深い青のジーンズ姿の先輩、友部朝(ともべ・あさ)はそんな無防備な姿を神林龍一(かんばやし・りゅういち)の前に晒していた。
「あ、いえ……大丈夫、デス」
大丈夫なわけがない。気を抜けば胸や尻に目が入ってしまうし、わざとらしくそっぽ向くと頭の上に?マークを浮かべながら朝が覗き込んでくる。可愛らしい大きな目で、上目遣いにこちらを見てくるのだ。よく見たらまつ毛も長くて、視線が合ったならそのままじっと見つめてしまいたくなる。
「今週の日曜日ね、サークルのみんなで映画見に行く会があるんだけど、龍一くんは行く?」
「いや……俺なんかが行ってもしょうがないっていうか。仲良しのみんなで行けばいいんじゃないかなって……」
「もう、そんなことないよ。龍一くん来るかなってみんな気にしてたんだよ?」
「え……」
「みんな龍一くんと仲良くしたいんだよ。お互いにその一歩がうまく踏み出せてないだけ。大丈夫、僕も行くから、みんなと一緒に映画見よ?」
龍一と朝が所属しているのは映画研究会だ。月に一度か二度、サークルのメンバーで映画を見に行く会が開催される。もちろん参加は任意で、龍一は映画は好きだが仲のいいメンバーがいなかったので毎回欠席していた。朝はそれを気にしてくれたのだ。
「でも……」
「みんなと行くの、嫌?」
朝が不安げな表情でこちらを見てくる。そのまま押し倒してキスをしてやりたい気分になったが、そんな暴挙に出るわけにもいかず、「嫌じゃないです……」と小声で返事をした。
(あー……くそ、このすけべボディを揉んだり舐めたり噛んだりしてみたい……メスみたいな顔しやがって……)
龍一はそんなことを考えながら、ハッと気づいて頭をブンブンと横に振った。
(何考えてんだ、せっかくこんな俺に優しくしてくれる朝先輩に……そんな酷いことできるわけないだろ。ていうかしちゃだめだ、常識的に)
しかし、「よかった」と言って微笑むのを見たら劣情を抑えられなくなりそうだった。
「じゃあ、龍一くん参加決定ね! 日曜日の朝11時に、水龍座の入り口のところで……」
「水龍座?」
「うん。マイナーだけど面白い映画を上映してるところなんだ。あ、道わかんなかったら一緒に行こっか?」
聞いたことのない映画館だった。龍一は即答するように首を縦に振って、朝との約束を取り付ける。学校外で会うのは、新歓コンパで居酒屋に行った時以来だ。
「じゃあ、大学からバスに乗って行くから、日曜日に正門の前で待ち合わせしよ!」
ああ、可愛い。可愛すぎてめちゃくちゃにしたくなる。そんな欲求がふつふつと湧いてくるが、我慢する。この関係を壊したくない。だから、この想いは隠し切る。でも……頭の中で妄想するくらいは許されてもいいだろう。
「日曜日……楽しみです」
「えへへ、よかった! じゃあ、僕そろそろ授業だから、またね!」
手を振って朝が去って行く。むちむちの尻に目が釘付けになってしまったが、龍一も授業に出るために立ち上がって部室から出た。
朝は確か心理学部だった。明るい朝は友達が多くて、たまに学内で会う時も、いつも仲の良さそうなグループで行動している。女友達もいるようだが、朝を囲むのは大体がチャラそうな男たちで、龍一はそれが気に食わなかった。
(朝先輩、なんであんなやつらと……どうせあいつらも、朝先輩の体をやらしい目で見てるんだ。そうに違いない)
勝手な想像でイライラして、龍一は鼻息を荒くした。
やらしい目で見ているのは自分も同じなのに、他人が同じことをしていると思うとひどく腹がたつ。それくらい、龍一は独占欲が強かった。
朝を独り占めしたい。
そんな気持ちに心が支配されてしまっている。
朝の彼氏になって、誰も触れたことがないような場所にたくさん触れたい。この欲求を、満たしたい――。
(……んなことできるわけないよな……俺みたいな陰キャ、太陽みたいな朝先輩に話しかけてもらえるだけで満足しなきゃ……)
龍一はぎゅっと拳を握って、怒りを鎮めようと大きく息を吸い込んだ。今、龍一はレポート提出のために研究棟へ向かっている。夕陽がひと気のない道をオレンジ色に照らしていた。
担当教授のポストにプリントアウトしたレポートを提出すれば、今日はもう家に帰るだけだ。そう思った時、明日提出の課題があることを思い出した。家では集中できないかもしれない。研究棟の裏を抜ければ図書館への近道になる。夜まで課題をやろうかと、龍一は提出を終えるとその足で図書館へ向かった。
裏道はさらに人がいない。誰も通らない道を龍一は黙々と歩いた。が、どこかから話し声が聞こえてそちらの方に無意識に視線を向けてしまった。
「――だ、だめです、こんなところでっ」
そこにいたのは朝だった。
朝が焦ったような声をあげている。一緒にいるのは、心理学部の准教授、佐々木だ。高身長で年齢も准教授にしては若く、整った顔をしているので女子人気があるとか。龍一には、気障ったらしいだけのオッサンにしか見えていなかったが、その佐々木が朝と一緒にいる。それだけではない。一緒にいて、佐々木の手が朝の腰に添えられている。2人の距離はただの准教授と学生、という雰囲気ではなかった。
ただならぬ雰囲気に、龍一は思わず柱の影に隠れて2人の様子を窺った。
「大丈夫、誰もいないよ」
「でも……」
「朝、こっち向いて」
困ったような顔をしている朝が、おずおずと佐々木の方を向く。
「ん……っ」
(うわ……!! うわあああ!!)
龍一の目の前で、2人はキスをした。背の高い佐々木が少し屈んで、朝の額に軽く触れるようなキスをした。龍一は混乱し、2人のキスシーンに釘付けになってしまっていた。
なんで、なんで2人がこんなところでキスを……?
まさか、付き合っているなんてことは……。
いや、付き合っていなければこんなひと気のないところで隠れてキスなんてしない。というか、シンプルに考えてそういう関係でなければキスなんてしない。ここは欧米ではないのだ。そう簡単に他人とキスをするようなこと、しない。
(嘘だろ!? 朝先輩と……佐々木が……!?)
龍一は震える手でスマートフォンを取り出していた。かしゃかしゃと音を立てて2人の姿を何枚も何枚も写真に収める。衝撃を受けながら、どこか冷静な自分がいた。
(だ、大学の教員と学生がそういう関係だなんて、許されるわけねえだろ!!)
2人はといえば、キスをした後に見つめ合い、笑い合ったりしていた。佐々木の手が柔らかそうな朝の頬に触れ、その手に朝も手を重ねる。どう見ても恋人同士の睦み合いだ。
「もう……先生、ダメですよ……」
「ごめんね、朝が可愛かったからつい」
(なにが“つい”だ!! 気安く朝先輩に触るんじゃない!!)
怒りが頂点に達して、このままではうっかり殴り込みに行ってしまいそうだ。龍一にそこまでの勇気がないのが救いだった。
何枚も2人の関係を証明する写真を撮った。これを使って……龍一の頭の中に卑劣な作戦が思い浮かぶ。
(2人の関係……ぶち壊してやる……!!)
その場を去ろうとした瞬間、朝が甘えるような声で「せんせえ……」と呼び、ついに佐々木と唇を重ねた。朝の方からだ。見ていられなかったが、これもネタになる……と龍一は歯を食いしばって写真を撮った。
この隠し撮り写真を何に使うか。自分でも怖いくらいスラスラとシナリオが思い浮かんだ。
朝は誰のものにもなってほしくない。
誰かのものになった朝は、朝じゃない。
奪い返さないと。あの男から。
龍一は自分の中にこんなどす黒い感情が眠っているなんて思わなかった。
それでも朝への独占欲の高まりが衝動を駆り立てる。
(朝先輩は、絶対に俺のものにする)
歪んだ決意と共に、龍一は気づかれないよう静かにその場を去った。
翌日、授業を終えた龍一は相談したいことがあるからと言って駐車場に朝を呼び出した。日が暮れて、静かに夜に向かっている時間だ。帰宅する学生たちのざわめきが正門へ向かう坂道の方から聞こえてくる。
龍一は、親から借りている車のそばで朝が来るのを待った。
朝には「人がいると話しにくいから、車で」と伝えてある。無防備な朝ならのこのこと1人で現れるだろう。
車に朝を乗せ、隙をついて朝を自分のものにする。下衆な考えを巡らし、龍一はきょろきょろと辺りを見渡した。
(やっぱり、第二駐車場は車も少ない……人目につくこともないだろう)
「龍一くん! ごめんね、待った?」
約束の時間から少し遅れて朝がやってきた。オーバーサイズのTシャツに、ぴたりと細身のスキニージーンズ。肩にかけたショルダーバッグには流行っているキャラクターの小さなぬいぐるみキーホルダーがぶら下がっていた。
うん、今日も可愛いな……なんて無意識のうちに考えていたら、返事が一瞬遅れてしまった。
「あ……い、いえ、大丈夫です。俺の方こそ、急に呼び出したりしてすみません」
「謝らないでよー、実はね、ちょっと嬉しかったんだ。龍一くんから頼られるの。なんか、先輩って感じがして!」
にこにこの朝を見て、歪んで冷え切った心が少しだけほっこりと温まってしまった。いや、流されてはいけない。心を鬼にして、朝を手に入れるのだ。龍一は気を引き締めて朝に車へ乗るよう促した。
「暑いですから、中、どうぞ」
「ありがとー!」
龍一のギラつく眼差しを少しも警戒せず、朝が助手席へと乗り込む。朝は腰を落ち着かせると、パタパタとTシャツの首元を使ってあおいで、「すーずしーい!」と笑った。クーラーを効かせておいた車内はふわりと柑橘系のいい匂いに包まれた。朝の香水だろうか。それとも、シャンプーか何かの匂い……? 龍一はそんなことを考えながら興奮しそうになるのを抑え、話を切り出した。
「先輩……単刀直入に聞きます。今、お付き合いしている人はいますか?」
「えっ……? ええっ、なになに、急に……相談って、恋愛系っ?」
「まあ、そうです」
「お付き合い……は……」
「してますよね。しかも、この大学の……佐々木准教授と」
「っ……!?」
突然の告発に、朝は顔色を青くして口元を抑えた。驚きと恐怖に染まったその表情に、龍一は口元を歪めた。
「な、なんで……」
「昨日見ちゃったんですよ。研究棟の裏で……2人が一緒にいるところ」
「一緒にいただけだよ、全然、そういう関係じゃなくて……」
「ふうん? じゃあ先輩は、そういう関係でもない人とこんなことするんですか?」
まだ青い顔のままの朝にスマホの画面を突きつける。そこには、昨日研究棟の裏でキスを交わしていた2人の姿がはっきりと写っていた。
「あっ……!」
驚いた朝が思わずスマホに手を伸ばすが、龍一はすぐに手を引っ込めた。
「こんな写真が流出したら、佐々木准教授も困っちゃいますよねえ」
「待って……なんで、そんなこと言うの……?」
「朝先輩、わかってます? 俺に脅されてるんですよ。今」
「どうして……!!」
さっきまで笑顔だった朝はすっかり狼狽えて、小さく震えていた。ぎゅっと両手の拳を膝の上で握っている。怯える姿は龍一の嗜虐心をくすぐった。
「うちの大学の裏サイトに流してもいいし、大学へ「学生と淫らなことをしてる准教授がいる」って告発してもいいんですよ」
「やめて! 佐々木先生に迷惑がかかるのは……やだよ……」
「好きなんですか? 佐々木のこと」
「……好きじゃなきゃ、あんなことしない……」
ぎり、と歯噛みする。悔しい。憎い。朝の口からはっきりと佐々木への想いを言われ、龍一は苦い顔をした。
「そうなんですね……じゃあ、朝先輩は佐々木にメーワクかかんないように、頑張らないといけないですね?」
「がん、ばる……?」
「俺へのご奉仕ですよ。口止め料です」
「やっ……!」
朝の細い手首を掴み、座席に押し付けて身動きを取れないようにする。いやいやと首を振る朝の唇を強引に奪い、首筋に顔を埋めて匂いを嗅いだ。
「やっ……やだ、やだよ、龍一くんっ……!!」
「そりゃそうですよね、佐々木のことが好きなのに俺にこんな好き勝手されたら嫌ですよね。でも、朝先輩が頑張らないと、佐々木のとのこと……バラしますよ?」
「っ……!!」
「大人しくできますよね、先輩」
朝の手から力が抜ける。やっと立場を理解して、受け入れたようだ。暗い瞳で黙り込んだ朝が恐る恐るといったふうに龍一を見る。
「僕が我慢したら……バラさないでいてくれるの?」
「もちろん」
「……わかった」
「いい子ですね。じゃあ、その可愛いおくちで俺のことを気持ち良くしてくれますか?」
龍一はジーンズの前を開いて太い肉棒を取り出した。それを朝に見せつけるようにゆるゆると扱く。朝は始めはそれに目を奪われていたが、ハッとして目を背けてしまった。
「どうしたんです? 早くご奉仕してくださいよ」
「ゃ……」
「今更嫌だなんて言いませんよね?」
朝の頭を優しく撫でて、それから撫でる手に力を込めてゆっくりと股間のほうへ近づける。車内で身動きがとりにくいからか、朝はバランスを崩して一気に肉棒に顔を近づけてしまった。
あと一歩で唇が触れる。その瞬間、朝は顔を横に背けた。
「……無理強いはしませんよ? ただ、佐々木の将来が潰れるだけです。俺はそれでも構いませんから」
「うっ……く、ぅ……」
唇を横に引き結んでいた朝が、ゆっくりと前を向く。ぎゅっと目をつむりながら、雄々しく勃ちあがったそれに口をつけた。固く閉じた目からは涙が滲んでいる。それを見た龍一は、さらに身体の中心へ血液が集まっていくのを感じた。
「ん……んく……」
柔らかい桃色の唇が龍一のペニスを口にふくむ。だが、おずおずと先端を舐めたりするだけで、どうにも踏ん切りがついていないようだ。
「先輩、もっとちゃんとしてくださいよ」
「ンッ……!!」
朝の後頭部をグッと押さえて、深く飲み込ませる。喉を使わせるのは可哀想だと思いながらも、龍一は遠慮なく手に力を込めた。
朝の喉奥に龍一の太いペニスがぬるりと滑り込む。んぐ、とくぐもった声をあげる朝に構わず、明るめのアッシュブラウンに染められた髪の毛を掴んで、前後に揺さぶる。朝の喉が締まって強い快感が龍一を襲った。
「はぁ……いいです、朝先輩の喉気持ちいい……」
座席に片膝を立てて腰を突き出すという、無理な体勢が少しきついが、気持ち良くてそんなことも忘れてしまう。
「ふっ、ぅっ……うう、う……!!」
苦しそうな朝が愛おしい。今この瞬間だけは、朝は自分のものだ。龍一はにやりと口元を歪めて朝の頭を前後させた。そして、すぐに絶頂がやってくる。爆ぜる瞬間、龍一は腰を突き出して朝の喉の奥深くへ射精した。
「ん、ぐぅ……ッ!?」
「ああ、すみません。出ちゃいました」
強制的に精液を飲まされた朝は、ぽろぽろと涙の粒をこぼしながら絶望に満ちた表情をしていた。
――すごい、なんて可愛いんだろう。
ずろりとペニスを引き抜くと、飲み込みきれなかった精液がどろりと口からこぼれて車内を汚した。それを責めるような口調で「ダメじゃないですか」と言って無理やり顔を上げさせる。絶望と恐怖が入り混じった顔で、朝は龍一のことを見ていた。
「ごめ……なさい……」
「まあいいです。先輩がちゃんとしないなら、佐々木のことバラすだけですから」
「やめてっ……!」
「じゃあちゃんと頑張ってください。……次は、そのいやらしいおっぱいを見せてもらいましょうか」
つん、と微かに膨らんでいる朝の胸を指先でつついた。柔らかな感触に喉が鳴る。
「えっ」
「ほら、そのTシャツ脱いでください」
「や……、それだけは……許して、っ」
Tシャツの胸元をぎゅっと握って、朝は首を振る。龍一は、そうか、ならばとスマホに手をやった。
「そうですか。じゃあ、とりあえず裏サイトに画像流しときますね。その次に大学のほうへ……」
「やだ! やめて!!」
「……先輩が従わないからですよ?」
「したがう……っ、ちゃんと、言うこと聞くから……お願い、やめて……」
絶望で心がめちゃくちゃになっている朝に、龍一は微笑みかける。
「えらいですね」
柔らかい髪の毛を撫でて、それからTシャツの裾をつまむ。これを脱げば、朝の身体をこの目に焼き付けることができる。いや、見るだけでは物足らない。写真を撮って、大切に保存しておこう。龍一はスマホの写真アプリを起動してその瞬間を待った。
「……脱げばいいんでしょ……っ」
「はい。先輩のかわいいおっぱいを見せてください」
「っ……!」
朝は覚悟を決めたようにバッグをおろして、がばっと勢いよくTシャツを脱ぐ。
あらわになった朝の身体に龍一は目を見開いた。
「先輩、それ……ブラジャーですか?」
言いながら、いや、違う、と思っていた。ミントグリーンのレースがあしらわれたそれはほとんどが紐で、乳首も透ける素材の薄い布に覆われているだけ。ブラジャーとして機能していない。
「……やらし」
その姿をカシャカシャと何枚もカメラに収める。写真フォルダがいやらしい朝の姿でいっぱいになっていく。龍一は気が済むまで角度を変えたりして写真を撮った。
「も、もういいでしょ……! ちゃんと脱いだんだから……」
「いやいや、それで終わりじゃないですよ。このやらしい下着の下のふっくらした乳首。揉ませてください」
「えっ、やっ……やんっ……」
答えを待つより先に手が伸びていた。龍一の指先が乳首をつつく。敏感な朝はその刺激にびくびくと肩を震わせた。
「男のくせにこんなやらしい下着つけて……佐々木に見せて一緒に楽しむんですか? このすけすけの下着、佐々木のためなんでしょう?」
「やぁっ……だめえ、ちくび、いじらないで……ぇ」
「もしかして喜んでます? 恋人以外の男に乳首弄られて、感じちゃってるんですか? 悪い子ですね」
くにくにと先端をつまんでいじめてやれば、朝は甘い声をあげ始めた。とろんとした瞳は潤み、頬は赤く上気している。胸を突き出しているのは、もっとしてほしいということなのだろう。
(なんだよ……清純なのかと思ったらとんだビッチじゃないか)
「あん……りゅ、いちく……っ、そんなにひっぱっちゃ、やだ……」
「こんな淫乱乳首はこれくらいしてあげないと満足できないでしょう? デカ乳首、シコシコしてあげましょうね」
「ひゃぅ! あっ、だめ、しこしこだめっ……!」
硬くなってしっかり勃ちあがった乳首を扱くように弄ると、朝はのけ反って感じ入った。ピンク色だった乳首が赤く染まってくる。いやらしい色に育ち、龍一は興奮して乳首を責め立てた。
「んんぅ……龍一くんっ……も、だめえ……」
「何がダメなんですか、こんなに気持ちよさそうな顔して」
邪魔な下着をずらして、龍一はぷっくりした乳首を口に含んだ。舌でコリコリと刺激すれば押し返してくるような弾力のある粒を、丹念に唾液で濡らししゃぶる。
「ひゃっ……ぅ、ああ、ぅ、ぅんっ……!」
「可愛い声……誰にも聞かせたくないなぁ……俺だけのものにしたいです、先輩」
「やだ……やだぁ……」
朝の乳首をちゅうちゅうときつく吸えば、刺激のたびに「んっ、んっ」と甘い声をあげる。佐々木以外にこんなことをされて、拒絶するのかと思ったが、少しずつ絆されているのがわかる。
「めちゃくちゃ感じてるじゃないですか。相手が恋人じゃなくてもすぐそんなふうになっちゃうんですね」
「っ……! だって……」
「だって? どんな言い訳しても、ココをこんなにさせてたら説得力ないですよ」
そう言って龍一は膨らんでいる朝の股間を指先でなぞった。
「ひぁッ……!?」
「あーあ、これ、浮気ですね。俺なんか相手に気持ち良くなっちゃって」
「ちが……っ、これは、ちがう、の……っ」
「何が違うんですか? 俺に吸われておっぱい気持ちいいんでしょ? ほら、舐めてない方もいじめてあげますね」
「やっ……! ひぃ、んっ……!!」
指先で肥大した乳首をピンッと弾けば、仰け反ってメスの発情した声を上げる。
「可愛い顔して淫乱なんだから。やらしい声あげちゃって……」
「そんな、こと……っ」
言葉でもいじめてやれば、朝は身震いしながらもじもじし始めた。何かを我慢するように眉間に皺を寄せている。
「もしかして先輩、イキそう?」
はっと顔を上げた瞬間、涙か汗かわからない水滴が散る。苦しげに龍一を睨んで、唇を噛み締める姿は嗜虐心をひどく煽った。
「あはは。イキそうなんだ? 後輩に脅されて、恋人でもない男に乳首弄られてイッちゃうんだ? かーわいい」
「ひどい……龍一くん、ひどいよ……っ」
とうとう本格的に泣き出してしまった。ああ可愛い。泣き顔でさえこんなに可愛いなんて。龍一はうっとりと朝の泣く姿を堪能した。その間も、乳首を弄るのをやめない。指の腹で転がしたり、ぎゅっと押しつぶしてみたり。その度にびくん、と身体を震わせるのが可愛くて、股間には触らず乳首だけで絶頂させようと躍起になった。
「ほらほら、先輩のすけべ乳首がぷりぷりに膨らんじゃってますよ。このエロ乳首、佐々木に弄られてこんなになったんですか? どんなやらしいセックスするのか、興味あるなぁ」
「っ、ふ、ぅ、ぅうんッ……!」
「その下着だってド変態じゃないですか。男がこんなのつけて……ああ、先輩はもう男じゃないんですね。もはやメスですもん」
ぎゅっと膨らんだ両方の乳首をきつくつまむと、朝は今までにないほど高い声をあげ、内腿をすり寄せて全身を痙攣させた。
「んぅううぅ――!! っく、ぅ、ん……!! はぁっ……あ、あ……やだ、やだ……っ」
朝はゆるゆると首を振って、やがて身体を弛緩させた。
「……もしかして先輩、イッちゃいました?」
はあはあと息を乱す朝に問いかければ、返事はなかったがその態度で何が起きたのかすぐに理解できた。乳首だけでイッたのだろう。
――自分の手で、朝が絶頂した。
その事実が龍一をひどく興奮させ、同時に歓喜させた。
「……そういえば先輩、もしかして下のほうもエロい下着つけてるんですか?」
ぐったりしている朝のジーンズのジッパーを指でなぞる。この下にはどんな下着をつけているのだろう。龍一は興味津々だった。
「そうだなぁ……先輩の下着をもらえるなら、今日のところは黙っておいてあげますよ。ノーブラノーパンでおうちに帰ってください」
「えっ……」
「ほら、人がいない今のうちに下も脱いで」
精液でベトベトになっているであろう下着を期待して、朝を急かす。拒絶したらどうなるか、流石の朝も理解しているらしく、もたつきながらジーンズを脱ぎ始めた。
「うわ、エッロ……」
身につけていたのはやはりいやらしい下着で、両サイドの紐を解けばするりと脱がせてしまう、紐パンだった。すけすけのブラジャーと同じミントグリーンのレースが愛らしく、やはり布地は透けている。
元々透けている素材なうえ、そこにたっぷりの精液を吐き出しているものだから、小ぶりなペニスまでくっきりと見えてしまっていた。
「これも写真撮らせてくださいね」
「ッ……!!」
再度スマホを出して、いやらしさの極みとも言えるすけすけ濡れパンティーを写真に収めた。満足した龍一は、それを脱ぐように命令する。
「龍一くん……もう……こんなこと、やめて……」
悲痛な泣き声を無視して、龍一は精液にまみれたパンティーの匂いを嗅いだ。
「あー……朝先輩の匂いがする……」
「き、聞いてよ、龍一く……」
「何をいっても意味ないですよ。弱みを握ってるのは俺なんですから、やめるかやめないかは俺が決めます」
匂いを堪能した後はその辺にあったコンビニ袋に下着を入れて、ほとんど全裸になった朝の姿を頭のてっぺんから爪先までじっくり観察する。全体的に細身だが太ももと胸はむっちりしていて、この身体を好きにできる佐々木が羨ましくて仕方なかった。
「……また、遊びましょうね。先輩」
「っ……う……!」
今日のところは許されたのだと理解した朝は、急いで脱いでいたものを身につけて逃げるように車から降りていった。
転びそうなくらい足がもつれていたが、大丈夫だろうか。あの綺麗な身体に傷なんて作ってほしくない。
手に入れた戦利品を眺めてうっとりしながら、龍一は次はどんなことをして遊ぼうか、考えを巡らせた。
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