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第34話 ★寮生活1日目
ウェンは、入浴を済ませて、隊長専用の個室部屋にいた。
隊員は基本二人部屋で、ラムズはシータと同じ部屋になった。
シータの性格なら、ラムズとも上手くやっていけるだろう。
隊員たちのこれまでの訓練記録をめくった。
隊員達の様子を見たところ、気力、体力はちゃんと回復してきているのには安心した。
が、訓練結果については、サボっているわけではないが、いまいち数値の伸びが見えない。
レーザーソードでの戦いには、限界があるように感じる。
明日、トトやドレイクとも相談しようと思った。
コンコン、と、ドアをノックする音が聞こえる。
ドアを開けると、そこにはラムズがいた。
「どうしたんだ?こんな時間に」
ラムズも入浴は済ませた様子で、さっぱりしている。
どことなく、心細そうな雰囲気を感じた。
「まず、入って」
ラムズを招き入れた。
ドアを閉めると、ラムズは立ったままじっとウェンを見つめた。
一体どうしたのだろう。
こういう時に会話ができないのは、やはり不便だった。
よしよし、と頭をなでると、ラムズの方から抱きついてきた。
やっぱり不安なんだろうか。
「アッシュにやられたところの、ケガは大丈夫かい?」
ラムズはうなずいた。
人生初の戦いであれだけの攻撃を防ぎ、生きて帰ってきたのだ。
すごい話だ。
ラムズは、ウェンの脇腹に手を当てた。
「ああ、俺の方は……」
ウェンは寮内専用の部屋着をめくった。
脇腹には火傷でただれたような生々しい傷痕が残っていた。
「アッシュが治療をしてくれて、もう少しやれば傷痕も消せるとは言われたんだ。でもまあ、あとは見た目だけってとこまで治ったから、いいやと思って」
ラムズは、そっと傷痕に触れた。
つうっと、指を傷痕に沿わせてなでる。
ラムズの手が腰骨に触れて、ウェンは少しドキッとした。
「心配ないよ、もう大丈夫だから」
そそくさと傷痕をしまった。
ラムズが心配そうに見つめてきて、はからずも胸がキュンとした。
アッシュに押し入られた時も、ラムズが心配してくれたことを思い出す。
ラムズの変わらない優しさが嬉しい。
ラムズは抱きついたまま、ウェンから離れようとしなかった。
甘えたい……のかな?
ウェンはラムズと一緒にベッドのふちに腰掛けた。
「シータやトトとは、うまくやっていけそうかい?」
そう聞くと、ラムズはうなずいた。
食堂での様子を見て、ウェンもそこは心配がなかった。
じゃあやはり、心配はアッシュだろうか。
アッシュの場合、隙を見てラムズを殺しに来てもおかしくない。
ああ、そうか。
ラムズが甘えられるのは、アッシュがいない時に限るられるから、今来たのか。
ウェンは、そう解釈した。
「ラムズがこれからどんどん強くなっていくのを、楽しみにしてるからね」
ウェンは、ラムズを抱き寄せて、ラムズの頬に自分の頬を当てた。
母親が誰だかはわからないが、父親のあいつがラムズに親の愛を示すなんてきっと無いだろう。
そもそも殺そうとしてるしな……。
そう考えると、ラムズはここに来て正解だったかもしれない。
ラムズはウェンに頭を擦り付けてきた。
シャンプーの匂いがして、なんだか可愛らしい。
もう一度ラムズの顔を見て、見つめ合うと、ラムズはウェンの唇にキスをしてきた。
……あれ?
キスした?
ウェンは少し混乱して、ラムズを見た。
ラムズは恥ずかしそうに目を伏せている。
……思春期……?
さすがに親だと思ってるならキスはしないだろう。
兄……でもないということか。
隊員と一緒にいることで、隊長だとは思ってくれているかもしれない。
部隊では恋愛を禁止していないので、街に彼女がいる隊員もいるし、規律を守り、申告があれば隊の中で付き合ってもいい。
少し考えている間に、ラムズがもう一度キスをしてきた。
さっきよりも長く、体も密着させてくる。
ラムズの、まだ大人になりきれない体を感じる。
ラムズは、はぁ……と、少し吐息を漏らした。
……きっと、そういうことに興味が出てきたタイミングなのだろう。
まさか、これをトトやシータにお願いするわけにはいかない。
ウェンも少し、ラムズの唇をはんだ。
はぁ、はぁ……とラムズの荒い呼吸がする。
ラムズの下半身が反応しているのもわかっていた。
「ラムズも男だし……これからムラムラしたら、こうするんだよ」
ウェンはラムズのを軽く握って動かした。
ラムズは、浅い呼吸をしながら少し顔をゆがませた。
潤んだ目元や口元がいやらしい。
人によっては、この美少年の淫靡な姿そのものに欲情するだろう。
ラムズが再びウェンにキスをした。
同時に手を早めると、ラムズはうまくイクことができた。
はぁ、はぁ、と息を切らせて、ラムズはぐったりしている。
ラムズは大人の階段を一歩登ったわけだが、なんかちょっと、最初からやりすぎた気がする……。
ラムズは少し恥ずかしそうにして、後始末をした。
「もっと一緒にいてあげたいけど、間もなく消灯時間だ。また何か困ったことがあったらいつでも来て」
そういうと、ラムズは小さくうなずいた。
……「困ったこと」が、性欲処理に限定されたらどうしよう……
一瞬不安がよぎったが、まだラムズが頼れるのは自分しかいない、と思い深く考えないようにした。
ラムズはもう一度軽くキスをしてから、部屋に戻って行った。
おやすみの挨拶がキスに変わってしまった。
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