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第69話

僕は、僕と同じ生き物ではない宗吾さんの事が好きだ。 僕と違うものを食べて、僕と違うものを見てきた宗吾さんが好きだ。 その違う人である宗吾さんと、一緒に寝起きをして、こうやって二人で淫蕩にふけるのも好きなのかもしれない。 この人が喜ぶことをしたい。 この人に気持ちよくなって欲しい。 射精という終わりのために、じゃなくて、心から彼に気持ちいいって思って欲しい。 「あの……」 舐めていいですか?と聞きながら後ろ手に宗吾さんの起立を撫でる。 固くなっていたことが嬉しい。 「もしかして、お腹空いてる?」 宗吾さんに聞かれて首を振る。 お腹は空かない。大切なもので満たされている。 だから、それをしたいのは単純な僕の欲望だからだ。 「駄目ですか?」 僕が聞くと宗吾さんは「まさか」と答えた。 「その代わり――」 俺もこれ舐めてあげるね。そう言いながら宗吾さんは僕の反応を始めている昂りをを撫でた。 あ、とか、う、とかいう言葉にならない声ばかり出て、なんて答えたらいいのか分からなかった。 僕のものを舐めさせていいのかということが分からない。 宗吾さんは食欲を満たすわけじゃないんだからとどうしても思ってしまうのに、宗吾さんはてきぱきと僕の体を横たわらせて、僕の下肢をくつろげてしまう。 多分、宗吾さんの顔の前にははしたなく興奮しきった自分の陰茎がある。 「ちょっ、あっ、あぅっ、やぁっ」 ちょっとまってくださいって言おうとした口からは喘ぎ声しか出なかった。 多分、この感覚は一生慣れない。 そういう感触だ。 だって、宗吾さんが僕のものを舐めているのだから。

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