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第75話

穿たれた切先が、結腸と呼ばれる部分にまで到達しているのが分かる。 最奥が拓かれてる。 慌てて離そうとした手は「そのまま掴んでて」と言われて相変わらず背中に回している。 僕の一番深い部分に宗吾さんがいる、感触と、その部分が与える悦楽に体が反る。 過ぎた感覚だとさえ思うけれど、一番深い部分で宗吾さんと繋がっている感じがして好きだと思った。 だけど、ちゃんと考えられるほどの思考はもう残ってない。 頭の中が、快楽だけに塗りつぶされていく。 この感覚は、自分が淫魔だからかもしれないと思っていたときは少し不安だった。 けれど、今はもう怖くない。 これはもう食事じゃないから。これを食事だからか考える必要はもう無い。 僕を見下ろす宗吾さんと目が合う。 「好きだよ」 囁きの様な声だった。だけどちゃんと聞こえた。 体の内側からじわじわと熱い。 宗吾さんが僕の事を見てくれていることが嬉しかった。 「僕でいっぱい気持ちよくなってくださいね」 精一杯妖艶になる様に言うと、中を穿つ宗吾さん自身がドクンともう一回り大きくなる。 それがたまらなく嬉しい。 宗吾さんは、僕の腰をつかむとそのまま一番奥をガツガツと突く。 思考が完全に快楽を追う事ばかりになってしまう。 「好き……、好きです……、あ、あ゛ッあ、あっ」 快楽で視界さえパチパチと弾けて、思考も何もかもがトロトロに溶けていく。 僕の限界が近い。多分宗吾さんもそうだ。 バツバツとたたきつけるみたいに、中を擦られて限界まで高められる。 精液が欲しいという欲求よりも、二人で高みに上りたい。 宗吾さんにしがみついて舌をのばす。 口内をくまなく舐められながら、中で宗吾さんが弾けたのを感じた。 ほぼ同時に僕もイってしまう。 ベッドルームに僕と宗吾さん二人の荒い息遣いが聞こえる。 好きで、好きでたまらなくて、愛おしくて、それで少し切ない気持ちになる。 それが恋と呼ばれるものだって事はもう知っている。 宗吾さんが教えてくれた。 宗吾さんが同じ気持ちだという事も、もうちゃんと知っている。 「食事の必要がなくても、またこういう事してくれますか?」 荒い息のまま、僕が聞くと「勿論」と宗吾さんは答えた。

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