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24写真と指輪
「ロンが好き、僕はロンを愛してる」
「ああ、俺もオウガを愛してる」
「はぁ、キスだけじゃ物足りないよ」
「でも罰は罰だからな、まだ一週間経ってない」
「そういうロンの真面目なとこも好き」
「俺は俺を誘惑する可愛いオウガが好きだぜ」
そう言って俺はオウガに深いキスをした、オウガも今はキスしかできないから、二人で飽きるまでキスを繰り返した。そうしたらオウガが僕たち結婚式もしてないと言いだした、俺はしたいんだったらしてもいいけど、招待客が少なすぎるとちょっと残念なこと言った。それじゃ、写真を撮ろうとオウガが言いだした、俺と結婚した証が何か欲しいみたいだった。
「おお、結婚式の姿だけ撮ってくれる写真館もあるのか」
「うわぁ、いろんな衣装がいっぱい」
「タキシードもいろんなやつがあるな、オウガお前が二人分選んでくれよ」
「え? 僕はドレスじゃないの?」
「俺はオウガと結婚したいけどさ、お前を『女』扱いするつもりはねぇぞ」
「うん!! 分かった、とびっきりカッコいいタキシードを二着選ぶよ!!」
そうして翌日になって俺とオウガはとりあえず、写真館で衣装を選んで予約を入れた。そうしておいてから俺はオウガを別の店に連れていった、そこは立派で大きい宝石店だった。俺はせっかくだからおそろいの指輪も買おうぜとオウガに言った、オウガはうんっと力強く返事をして、オウガに好きな指輪を選んで貰った。大きい店だったから、俺たちのサイズの指輪もあった。俺は指輪をオウガの左手の薬指に、オウガは俺の左手の薬指に指輪をしてくれた。ちなみに、代金は俺が贈るんだから俺が支払った。
「シンプルだけど、すっごく綺麗」
「洗い物をする時とか、失くさないようにしなきゃな」
「これ着けてハンターギルドに行ってもいい?」
「ああ、当然だろ」
「ふふっ、僕ったら凄く嬉しい。ロン」
「俺もさ、オウガ」
そうして改めて写真館に戻った、俺たちはお互いオウガが選んだタキシードを着て写真を撮った。何種類か場所や姿勢を変えてプロのカメラマンに撮って貰った、オウガはしばらくして出来上がった写真を見てとても嬉しそうだった。それを入れるための写真立てなども一緒に買って、ここの料金は二人で折半して支払った。
「うーん、玄関に一個でしょ。リビングに一個、寝室にも一個ね!!」
「はははっ、随分と賑やかになったな」
「僕はこれが一番好き!!」
「おう、キスをしている奴か。これ寝室に置けよ」
「ふふっ、玄関に置いちゃおうかな」
「エフィとかが遊びにきたら、びっくりするぞ」
それもそうかとオウガはその写真を寝室に置いていた、俺はそれでも結構恥ずかしかった。ああ、俺ってオウガと結婚したんだって実感がわいた。それはオウガも同じだったようで、ロンは僕の旦那さんって呼ばれてしきりにキスをねだられた。今日は写真館と宝石店だけで一日が終わってしまった、俺たちは用事をすませると幸せな気分でお休みのキスをして眠りについた。
「ロンは僕の旦那さん、ロンは僕の旦那さん」
「朝からそればっかりだな、それで奥さん朝食は?」
「もちろん、はいこれ。早く一緒に食べよう」
「ああ、オウガの作る飯はどれも美味いからな」
「ふふっ、そう言って貰えて嬉しい!!」
「俺が作ると炒め物ばかりになるからぁ」
そうして美味しい朝食を食べた後、俺はオウガがとっているハンター新聞を読んでいた。そうしたら例の円盤状の変種のアビスがまた首都テンプルムに近づいているという話だった、頭が五つあるのでそのアビスは『五芒星』と呼ばれることになったようだ。俺はオウガにも声をかけて、その新聞記事を二人で読んでおいた。
「さぁ、今日はアビスの依頼はあるかな?」
「うーん、依頼は無いみたいだね」
「それじゃ、また訓練かな」
「ふふっ、手袋の下で見えないけど指輪が嬉しい」
「休み時間には手袋外しちまえ」
「僕はロンのものですって、見せびらかすんだね。だったらロンもそうしてよ」
俺はオウガの要求に分かったと答えた、そうして俺たちが掲示板を眺めていたら、受付のお姉さんが慌てて俺たちを呼びに来た。何の用事かは教えて貰えないまま、俺たちはハンターギルドの上の階にある会議室に通された。そうしたらそこには既に七人のハンターがいた、見覚えのあるアレシアの姿もあった、とりあえず俺たちは空いていた二つの席に座った。
「新人なのに遅れてくるなんて、おじさんにしては態度がでかいわよ」
「いや、俺たちはハンターギルドに来たばかりだ」
「チッ、それならしょうがないわね」
「それでこれは何の集まりなんだ?」
「例の『五芒星』のことくらい知ってるでしょ、これは十つ星ハンターの会議よ」
「十つ星のハンターの会議……」
アレシアから嫌味を言われてオウガがちょっと怒っていたが、とりあえずは大人しく俺とオウガは会議とやらを聞くことにした。俺とオウガという新人がいるから、まずは自己紹介から始まった。意外なことに女性が四人と男性が三人で、女性の方が数が多かった。そうしてまずはアレシアから自己紹介が始まった、彼女は堂々と自信を持って話した。
「私はアレシアよ、得意なのはワイヤー使い」
「俺はシケットだ、得意なのは銃撃だ」
「あたしはランダよ、得意なのは短距離戦闘」
「僕はティーグル・トランス・ハーフェン、ハーフェン家の次男だ。得意なものは特にない」
「吾輩はヴォルフだ、得意なのはパーティ戦闘」
「わったしはリコリス、得意な武器は斧」
「私はベスティア、得意な武器はハンマーね」
「俺はロン、得意な武器は刀と槍だ」
「僕はオウガです、得意な武器は槍」
そうやって一通り自己紹介が済むとアレシアが司会で話し出した、もう三、四日で『五芒星』が首都テンプルムに着いてしまうということだった。俺たちもそれくらいはハンター新聞で知っていた、でも既に何組ものハンターたちが『五芒星』に挑戦して死んでいたのは知らなかった。アレシアは最後にこう言いだした。
「それで『五芒星』に挑戦するってハンターはいる?」
アレシアの言葉にアレシア自身と、短い黒髪に茶色い目をしたシケットというハンターが手を上げた。俺は『五芒星』のことが詳しくまだ分からなかったから、ひとまず手をあげるのは止めておいた、オウガも俺を見て同じようにした。その後はアレシアとシケットというハンターが、どっちが先に『五芒星』を倒すのかという話になった、二人ともお互いが先だと譲らなかった。
「私が先よ、私のワイヤーなら『五芒星』を拘束できるわ」
「俺が先だ、銃撃で粉々にしてやる」
「あらっ、銃撃は効果が無かったって、ハンター新聞を読んでないの?」
「銃を撃ったやつが下手だったんだろう、俺のパーティなら倒せる」
「それじゃ、投票で決めましょう。皆、私かシケットに投票して」
「分かった、それで決めよう」
俺とオウガは銃撃は効かないとハンター新聞で読んでいたから、アレシアにそれぞれ一票入れた。五対二でアレシアが最初に『五芒星』と戦うことになった、彼女は上機嫌でそれじゃとりあえず会議は終りだと言いだした。それで十つ星のハンターの会議は終わりだった、アレシアは戦う準備をするためだろう、さっさと帰ろうとしたが俺に嫌味を言うのは忘れなかった。
「おじさんは大人しく見てなさい、私が『五芒星』に勝つところをね」
「ああ、見させて貰うぜ」
「え? ちょっと本気で見に来る気!?」
「お姉さんが『五芒星』を倒せなかったら、俺たちにも出番がまわってくるかもしれないだろ」
「ハッ、好きにしなさい。それじゃ、おじさん」
「はいはい、お姉さん」
アレシアは呆れた様子で会議室から出て行った、その後オウガと俺はロビーに戻って話し合うことにした。アレシアとシケットが失敗したら、この首都テンプルムに『五芒星』が出てしまう、だから『五芒星』の戦法とか特徴を実際に見ておきたいと俺はオウガに言った、オウガもアレシアとシケットが負けた時に備えて俺の意見に賛成した。
「どっちが倒してくれるといいけどな、オウガ」
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