4 / 35

2、突然の再会 後編

 急に突きつけられた言葉が理解できず、俺は前の席の大貴に尋ねた。 「あの副担Normal(ノーマル)なのか?」 「そう言ってただろさっき。まぁあの見た目でNormalって言われても納得いかないよな。Sub(サブ)は儚くて庇護欲そそられる奴が多くて、Dom(ドム)は威圧的でいかにも強者ってイメージ強いし。先生もろ前者のイメージにピッタリじゃね?」 大貴の言った通り、晴陽と名乗る先生は、Normalっぽくない雰囲気をしていた。それに、すごく、どこかで嗅いだことのある、いい匂い惹きつけられる。  花岡先生の隣に立つ彼を眺めていると、さらに大貴が問いかけてきた。 「TheイケメンDom様はどうなんだ?Normalでも欲求って満たせるもんなのか?」 「…分からない。やったことないし」 「でもさすがにNormalとは付き合えないんじゃね。俺らCommand(コマンド)効かねーから。それ即ちお前の欲求は満たせない。だからやっぱり無理だな、わっはは」 「そんなの…やってみなきゃ分かんないだろ!」  俺は晴兄だったらNormalでも構わないのに、否定される筋合いはない。DomはSubとしか付き合えないとか、Normalは無理だとか、勝手に色々言われて俺は頭に血が上り、勢いに任せて大貴を怒鳴ってしまった。  そんな俺に対して、花岡先生は俺の怒鳴り声よりさらに大きな声で怒ってきた。 「佐藤、椎名、いい加減にしなさい。あなたたち声大きいんだから、喧嘩はHR終わってからにしてよね」 「「すみません…」」 「お前が怒鳴るから俺まで怒られちゃったじゃんか」 「悪かったな…」 「まぁ俺も悪いこと言ったよ。まさか怒鳴るほどあの副担に一目惚れしていたとは。珍しいこともあるもんだ」 大貴はそう言って前を向いてしまった。  一目惚れとは違う。晴兄へのこれは執着だ。夢にまで出てくるほど恋焦がれていたんだ。Subだと思っていたんだ。いや、離れ離れになる前、晴兄は絶対にSubだった、と思う。それがNormalで再会するなんて。  俺が8年思い続けた晴兄は、俺が理想のまま思い描いた幻想の晴兄で、今目の前にいるのが現実の晴兄なのだろうか。  たとえそうであっても、もう俺の走り出した思いは止まるところを知らなかった。  本当に晴兄がNormalなのか。何かの間違いなんじゃないか。Normalだったとして、晴兄は俺と付き合ってくれるのか? ――自分の目でしっかり確認しないと、こんなの前に進むこともできないよ…

ともだちにシェアしよう!