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24、思い出の星空 ⑤

俺は無防備の陽介を力強く押し倒した。 「イッタ…首打ったんだけど」 「それはごめん。でも頭はベンチに乗せて」 「強引すぎ…」 流石に勢いよく押し倒しすぎて、飛び出た頭分、陽介はベンチの角で首を強打してしまったらしい。文句を言いながら首を摩っていた。  それでも俺は無理やり陽介の足を引っ張って、陽介をベンチに寝かせた。  それから俺は陽介の上に跨った。 「な…何やってるの」 「俺のこと知りたいんだろ」 「そう言ったけど…」 「俺もう我慢できない…ここに陽介が欲しい…」 「な、何やってるの」 俺は驚く陽介の手を取り、自分の下腹部に触れさせた。陽介は真っ赤になりながら俺のお腹を凝視していた。  俺はこの数ヶ月、ずっとずっと陽介が俺を求めてくれることを待っていた。だけど陽介はちゃんと陽さんの言ったこと守って、俺とはプラトニックな関係だった。  本当は陽介の方が我慢できなくなって、内緒でシてくれるって思ってたのに、陽介は平然をやってのけやがった。  もう俺は我慢の限界だった。 「俺は陽介とシたい…誰になんと言われようと、もう我慢できない」 「ダメ。絶対ダメ。母さんとの約束だし、バレたら殺される」 「俺が無理やりしたって言えばいいじゃん。俺はもう無理!」 俺は陽介の制止を振り払って、陽介のズボンの前を寛げた。  口ではダメだと言いながら、陽介のものは期待で膨れ上がっていた。 「本当にダメだから。やめて晴兄」 「ダメって言いながら陽介だって満更でもないんだろ。下半身は正直だな」 「マジでダメだから!晴兄Stop(動くな)」 「Command(コマンド)使うなんてズルいぞ」 結局陽介の下半身に触れることもできずに、俺は陽介のCommandによって動きを封じられてしまった。  この状況でもヤらせてくれないなんて、どんだけ陽さんのことが怖いんだよ。 「陽介の意気地なし…俺より陽さんとの約束の方が大事なのかよ」 「そうじゃないってば!初めてがこんな外なんて嫌なだけだって」 「じゃあどこならいいわけ?」 「そ、そりゃあ…夜景の綺麗なホテル…とか」 陽介は自分で言って恥ずかしくなったのか、自分の顔を覆ってもじもじしていた。  そんな反応をされると俺まで恥ずかしくなってくる。それに我慢できなくて外で始めようとしたことにも、急に羞恥心が押し寄せてきた。 「そ、そんな夢があるなら…ここはダメだよな…なんかごめん…」 「俺こそごめん…晴兄がそんなに欲求不満だったって気付かなくて」 「悪かったな欲求不満で…俺だって自分にビックリだよ」 俺はそういうことに淡白というか、むしろ苦手な方だった。聞こえてくる母さんの嬌声も叫び声のようだったし、無理やり組み敷かれてさせられることはあっても、自分からしたいだなんて思ったことは1度だってなかったんだ。  なのに陽介とパートナーになって、そういった欲求が湧くようになって、本当に自分でもどうしたらいいか分からない。 「ねぇ、もしかして頑なに俺の家に住むの嫌がってたのってさ…」 「な、なんだよ…」 「いや、なんでもない。それより晴兄、Come(おいで)」 陽介は言うのをやめて、俺を抱き寄せた。  一瞬、俺が教師とか生徒以前に我慢できないから、一緒に住めないって言い続けたことがバレたかと思った。  いや、陽介がニヤニヤしているからバレたのかもしれない。その顔は少しだけバカにされているようでムカついた。  だけどそのあと、愛おしそうに俺を見てきて、なんだかムカついてたことがどうでもよくなってしまった。 「そろそろ帰らないとだけど、帰りたくないな…」 「でも明日から特別講習だろ」 「そうなんだけど、晴兄と離れたくない」 「じゃあ今日は泊まりに行こうかな…」 「本当?」 「俺も一緒にいたいし、明日俺休みだしな」 陽介は俺の言葉に目を輝かせて、勢いよく起き上がった。その顔には「そうと決まれば早く帰らなくちゃ」と書いてあるように見えた。  そしてまた当たり前のように俺を背負って、今度は街灯のある明るい道を選んで、俺たちは陽介の家に帰った。  今までは薄暗かったから気にならなかったけれど、俺たちは汗と土で泥だらけだった。陽介なんて前面泥まみれで、帰ったら陽さんに怒られることを考えてすごく怯えていた。  それでも俺たちは陽さんと聖司さんが待つ、温かい家に急いで帰った。

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