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赤い糸なんて引きちぎれ!!(前編)

「おらぁ!? このぐらいの腕で、俺に喧嘩売るんじゃねぇよ!!」 「ひっ、もう止めてくれ!? 俺たちの負け、負けだ!!」 「二度と声かけてくんなよ!?」 「はっ、はい!!」 「それじゃあ、とっとと家に帰れ!!」 「わっ、分かりました!?」  俺は清田勝己(きよたかつみ)ごくごく普通のβの男だが、俺はハーフで髪が生まれつき金色だった、目も蒼い瞳をしていて日本人には見えなかった。それが原因でよく喧嘩を売られるのだが、俺は親父がしている空手を見よう見まねで使って、今まで喧嘩で負けたことは無かった。今日も数人が俺に喧嘩を売ってきたが、ボコボコに殴る蹴るして追い払った。そうした後、誰もいなくなった公園のベンチに座って、少しできたかすり傷の手当をしていた。そうしたら、いつの間にか黒髪に黒い瞳をした、幼稚園児くらいのガキが俺の前に立っていた。 「なんだ、ガキ。何か俺に用事か?」 「……つけた」 「ああ、何だって?」 「見つけた!! 僕の運命の番だ!! 赤い運命の糸の相手だ!!」 「はぁ!?」 「見つけた、見つけた、僕の運命の番だ!! こんなに早く見つかるとは僕は運が良い!!」  そう言ってその幼稚園児は俺に抱き着いた、俺は訳が分からなかったから、そのガキを引き剥がして家に帰ろうとした。するとそのガキが俺の右足に縋りついてきた、そうして俺がいくら足を振っても離さないから、俺は諦めて公園のベンチに座りなおした。そのガキは俺がベンチに座わりなおしたら足から離れて、今度は俺の体をよじのぼって俺にだいしゅきホールドをかました。そして、自分の自己紹介を始めやがった。 「僕は白石優一朗(しらいしゆういちろう)、αで今年五歳になる。お兄さんの名前は?」 「俺は清田勝己だ、あのなガキ。俺はβだ、だからお前の運命の番じゃない」 「ええ!? そんなことはない。勝己は僕の運命の番だ!!」 「でも俺はβだぜ、ガキは産めねぇ。他をあたりな」 「うん、きっと何かの間違いだ。病院に行って調べてもらおう!!」 「おいおい、なんで俺がお前のためにそこまでって!? なんだこの車は!! えっ、あんたたちは誰だ!?」  俺がその優一郎とかいうガキと話していたら、いきなり車が公園の中まで入ってきて、それから見たこともねぇスーツの奴らに俺は捕まった。そして、強引に病院に連れていかれて性別の検査をされた、医者の前で足を開かされてケツの穴の中までカメラで見られた。はっきり言って屈辱の二文字しかなかった、そんなことをしてまで出た検査結果はやっぱりβだった、俺を病院に連れてきた優一郎はその結果に物凄くショックを受けていた。そしてまた俺にだいしゅきホールドをかました、それから俺の匂いを嗅ぎまくっていたが、俺はその優一郎というガキを引き剥がして家に帰った。 「こんにちは、勝己。良い天気だね」 「またお前かガキ、えっと優一郎だよな?」 「勝己が僕の名前を呼んでくれた!? もっといっぱい呼んで、今日も勝己の匂いを嗅がせて」 「あのな、俺がβなのは昨日の検査でわかっただろ、優秀なα様とやらはさっさと運命の番とやらを探しに行け」 「清田勝己、十五歳。両親は共働き。白石建設と白石株式会社で働いている、僕と仲良くしていたほうが両親もきっと喜ぶぞ!!」 「さっすが優秀なα様、今度は俺の両親を人質にとって脅迫かよ!!」  俺がそう言うと優一郎が傷ついた顔をした、涙がみるみるうちに溢れ出てきて声もたてずに、優一郎は静かに泣き始めた。俺はさすがに幼稚園児を泣かせるつもりはなかったので、俺に抱き着いている優一郎の背中を泣き止むまでさすってやった。白石と言えばこの辺りでは有名な家だ、というのを俺は昨日両親に聞いて初めて知った。それからインターネットで調べてみたが、確かに白石家はこの辺りでは有名な金持ちの家だった。昨日のスーツの人たちの様子を見ても、この優一郎が白石家のお坊ちゃんなのは分かった。 「なんだ、優一郎。寝ちまったのか?」 「…………おぼっちゃまをお預かりします」 「誰だ、あんた? おい、優一郎!! 起きろ、こいつらは誰だ?」 「ふにゃ? 勝己? うん、この者たちは僕の部下だ。高橋、原田、加藤、柴田、鈴木、渡辺、谷口、田中、菊池、岡崎……」 「おいおい、随分と部下が多いんだな」 「うん、僕は白石家のたった一人の跡取りだから、部下もいっぱいいるんだ」  俺は優一郎が白石家のたった一人の跡取りと聞いて嫌な予感がした、そんなお偉いお坊ちゃんにつきまとわれるのはごめんだった。だからその日は適当に優一郎の相手をした、優一郎からは結婚して欲しいと何度も言われたが、俺は絶対には良いなんて言わなかった。そうして次の日は俺は中学の図書館で勉強をして放課後を過ごそうとした、そうしたら中学校の図書館に優一郎が現れた。けれど図書館では私語禁止だったから、俺に話しかけてはこなかった。よく見るとスーツの高橋だか、原田だかいう人たちが図書館に中に立っていた。俺は優一郎と帰り道で話をした。 「……優一郎、お前。中学の敷地にまで入って来れるのか?」 「白石中学校は僕の家が運営している学校だ」 「へぇ、そうなのか。俺のことはお見通しか」 「その通りだ、勝己が危ない目に遭ったらいけないから、部下に常に見張らせている」 「まさか、中学生にもお前の部下がいるのか?」 「勝己が気にするといけないから言わないが、実は十数人いる」  そうやって俺が放課後どこに行っても、優一郎はどこまでも追いかけて来た。大人しく俺が自分の家に帰っても、今度はピンポン攻撃が始まった。ピンポン、ピンポンと俺が家に入れてやるまでその攻撃は続いた、俺はうんざりして一度だけと思って、優一郎を家の中に招いた。そしてお茶を出した、優一郎の部下は高橋というおっさんと、原田というキリッとした女性だけが付いてきた。俺は彼らにもお茶を出しておいて、それから優一郎にハッキリと言うことにした。俺には優一郎と一緒にいる理由なんかなかった、同じ男の番なんて欲しいとも思わなかった。 「ハッキリ言うぞ、優一郎。お前とは結婚も友達付き合いも断る!! もう俺に会いにくるな!!」 「かっ、勝己は僕の運命の番だぞ!?」 「だが俺はβだ、子どもが産めない。白石家のたった一人の跡取りとしては困るだろ」 「でっ、でも勝己は運命の番だ。僕は勝己のその意地っ張りなところや、優しいところがもう大好きだ、愛してる!!」 「ああっ、もう俺には迷惑なんだ!! 今後一切、お前の部下も含めて俺には近づくな!!」 「勝己!! お願いだ、考え直して!! 勝己、僕は勝己が好き、大好きなんだ!! 愛してるんだ!!」  俺のことが大好きだと喚いている優一郎を、俺は最初は家の外に放り出そうとした。優一郎はそれに抵抗して暴れようとした、だがら俺は優一郎の抵抗を封じて高橋というおっさんに放り投げた。高橋というおっさんは慌てて優一郎を受け止めた、俺はお帰りくださいと言って玄関のドアを指さした。優一郎は嫌だと言ってとうとう泣き出した、高橋というおっさんと原田という女性はおろおろとしていたが、俺は容赦なくお帰りください、警察を呼びますよと言った。それで何とか優一郎たちは帰ってくれた、だがその夜の夕食の席で俺は両親からこんなことを聞かされた。 「勝己、お母さん。今日ね、上司に仕事を辞める気はないかって聞かれたの」 「勝己、なんだ偶然だな俺もだ、上司から仕事を辞めないかと聞かれた」 「……あのくそ幼稚園児」 「それでね、勝己。今悩んでいるのよ。ここで新しい仕事を探すか、それともいっそ東京にでも行こうかって」 「俺もそう思っていた、今の職場が続けられないのなら、東京にでも行って仕事を探そう」 「それはいいんじゃないか!? 俺は全力で母さんと父さんを応援するよ!!」 「賛成してくれて嬉しいわ、ありがとう、勝己」 「そう言って貰えると俺も良かった、勝己」 「俺も東京に行ってみたかったんだ、この土地を捨てて新しい環境でやり直そう!!」  こうして母さんと父さんが仕事を辞めたら、俺たち一家は引っ越すことに決まった。俺の祖父母はもう全員亡くなっていたので未練もない、この家が借家なのも助かった。俺は心配事が片付いてその日はぐっすりと眠った、そうして朝になって学校に行こうとしたら、家の前に優一郎が立っていた。泣きはらした真っ赤な目で、今にも泣きそうな顔をしながら立っていた。俺は母さんや父さんのことを思い出して怒りが湧いてきた、俺が言うことを聞かないから親の権力に頼るなんて、卑怯な子どもだと優一郎のことを思った。 「俺の母さんと父さんを、今の会社から辞めさせようとしたのはお前だな?」 「僕じゃない!? 高橋と原田が勝手に!?」 「部下のやることを止められない、結局はお前の仕業だ!!」 「…………ごめんなさい、勝己。好き、大好き、お願いだから僕を嫌わないで」 「ああ、もうどうでもいいよ。仕事を首になったら、俺たちは東京へ行くからな」 「そんなことはさせない!! 僕は絶対に勝己から離れない!!」  そう言うと優一郎はスーツ姿の人が運転する車に乗り込んで消えた、俺は言いたいことが言えたのでスッキリして学校に行った。今から俺は東京に行くのが楽しみになった、こんな田舎ではなく東京なら俺の髪の色のことを言う奴もいないだろう、俺はすっかり東京へ行く気でいた。でも優一郎は俺のことを諦めていなかった、飴と鞭でいうなら飴を使いはじめたのだ。俺の両親の首の話は消え、逆に両親はしたいことができる部署で出世した、そうして俺の東京行きの話も無くなってしまった。俺は放課後、公園のブランコに何となく座っていた、そうしたら優一郎がやってきた。 「お前、親の力を使うなんて卑怯だぞ」 「勝己が僕から離れていくなんて嫌だ、もう卑怯でも何でもいいから勝己、僕のことを好きになって」 「ませた幼稚園児だな、お前には正直に言って呆れた」 「もう何でもいいよ、僕を好きになって!! 他の人は見ないで!!」 「そんなに俺が好きか?」 「好き、大好き、本当に愛してる」  優一郎は幼稚園児のくせに大人のような真剣な表情でそう言った、俺はどうせ東京に行けなくなったんだし、面白いからこの優一郎をからかって遊ぶことにした。幼稚園児の好きがいつまで続くかと思った、それに俺はβなのだから優一郎と結婚することは絶対に無かった。どうせ逃げられないのなら楽しむのが俺のやり方だ、お偉いα様をあたふたさせてからかうのは面白そうだった。それでもし、両親が失職したら今度こそ東京に行けばいい話だった。だから俺は優一郎にこう言った、笑いながらこう言ったんだ。 「ぶっはははっ、それじゃ見ていてやるよ」 「え?」 「幼稚園児の優一郎の好きが、いつまで続くか見ていてやる」 「勝己は僕のαの熱情を分ってない、僕はいつまでだって勝己を愛してる」 「愛しているの意味が分かってんのか?」 「勝己のことを想うと僕の心がひきつけられる、勝己のことが大事で今だって抱きしめたい」  そう言うと優一郎は俺に抱き着いてきた、俺はブランコだったからバランスを崩して、優一郎が落っこちないように支えた。すると俺は首に鋭い痛みを感じた、それで首の後ろを触ったら血が出ていた、優一郎が俺の首の後ろに噛みついたのだった。俺はαがΩのうなじを噛むとそれ以降、そのΩが噛まれたα以外に発情しなくなるのと知っていた。だからといって勝手に俺がβとはいえ、俺のうなじに噛みつきやがった優一郎にお仕置きした。優一郎が泣いて謝るまで、おしりを手でぺんぺンと叩いてやったのだ。 「ごめんなさい、でも勝己が好きなの、大好き、愛してる」 「だからって血が出るほど、俺のうなじに噛みつきやがって」 「大丈夫、僕は一生責任を持って、勝己のことを愛していく」 「へぇ、でも俺は女の子が好きだから、女の子と付き合うけどな」 「止めて、勝己。僕は勝己が好きだ!! だからそんなこと止めて!!」 「俺が誰と付き合おうと、それは俺の勝手だろ。なぁ、優一郎」  俺がそう言うと優一郎は泣きながら止めてと言っていた、でも俺はβで性欲だって人並みにあるのだ。だから俺は普通に女の子と付き合った、キスもしたしセックスもした。そうしたらその女の子の親が失職させられて、その子は別のところへ引っ越すことになった。女の子には貴方のせいだって言われて俺は頬を叩かれた、女の子の親の失職は当然だが優一郎の仕業だった。俺はまた公園のベンチで座って優一郎を待っていた、そうして怒っていた俺は、怯えてやってきた優一郎にお尻ぺんぺんを泣くまでやった。それでもう一度同じことをしたら、嫌いになるぞと言った。 「勝己に嫌われたっていいもん!! 勝己が女を抱くなら何度だって邪魔してやる!?」 「へぇ、それじゃ優一郎。俺の性欲は一体、誰で発散すればいいんだ?」 「僕がする!!」 「はぁ!?」 「勝己に言われたことは何でもする、だから女の子なんて抱かないで」 「ほぉ~、そうくるか。優一郎、自分が幼稚園児だから、俺が手を出さないとか思ってないか?」  あいにくと俺はそこまで聖人じゃなかった、幼稚園児なんて趣味でもなかったが、脅かしてやれと思っていて優一郎を俺の部屋に連れこんだ。そうして俺のものを優一郎に舐めるように言ってやった。ここまで言えば俺は優一郎が泣くか逃げるかすると思った、でも優一郎は逆にうっとりとした真っ赤な顔になって、一生懸命に俺のものを舐め始めた。ヤバイ、俺は犯罪者になってしまった。俺はすぐに止めろと言ったが、優一郎は俺のものを口に含んで離さなかった。ガキなんて趣味じゃないが、優一郎の口内は気持ちがよくて俺はいってしまった、そして優一郎は俺の精液を全部飲み込んた。 「これで僕は、勝己の恋人?」

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