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鏡に映った俺と彼(前編)

「正人、俺お前の婚約者を辞めたい。両親も同意してくれている」 「何だって!? ふざけるな!! そんなことは僕は認めない、神里家も認めない!!」 「でも正人、俺もう十八歳になるのにヒートも来ない、だからΩとしても欠陥品だ」 「欠陥品だなんて孝之!! 自分のことをそんなに酷く言うな!!」 「でも事実だ、だから俺は婚約者を辞めたい。小学校の頃の恩なんてもう忘れてくれ」 「絶対に僕の婚約者は辞めさせない、孝之は僕の命の恩人で大切な人だ。婚約者を辞めるなんて、もうそんな馬鹿なことを言うな!!」 「正人、お願いだから頼むよ」 「そんなのは嫌だ、絶対に僕は孝之と結婚するんだ、だから婚約者だって辞めない」  俺、西風孝之(にしかぜたかゆき)は放課後の生徒会室で、生徒会長である神里正人(かみさとまさと)と話し合いをしていた。でも俺の訴えは認めてもらえず、お互いに妥協点も見つけることができなかった。 「正人、今日俺は正人の家に泊まりたい」 「そうか!? 孝之なら遠慮なく泊まるといい、毎日だっていいんだぞ」  そう言うと眉をよせて怒っていた正人が笑顔になって、正人の家に泊まってもいいと許可を出した。俺は正人ではなく、正人のご両親を説得してみようと思った。そうして生徒会室を出て、俺は自分の家に電話した。 「ああ、母さん。今日は正人の家に泊まる、正人じゃ話にならないから、正人のご両親と話してみる」 「そうなの、分かったわ。ちゃんと正人くんのご両親を説得して、自由になりなさい」  俺の母さんは俺を応援することを言って電話を切った、俺は母さんに応援されて気合が入った。今度こそ俺は正人の婚約者を辞めるのだ、そう改めて決意してから生徒会室に戻って、正人がやっていた事務作業を手伝った。しばらくして、下校の時間になると正人が俺の手を握って、早く早くと俺を引っ張って歩き出した。 「正人、そんなに焦らなくても俺は逃げないよ」 「当たり前だ!! 逃げ出したら追いかける!! 追いかけて座敷牢に閉じ込める!!」 「座敷牢ってそんな怖いものが本当にあるの!?」 「大丈夫だ、うちの座敷牢は広いし、テレビをついてるし、それどころか風呂やトイレも付けてある。万が一、孝之が逃げ出した時の為に快適に過ごせるようにしてある」 「そっ、そうなの? 随分と豪華な座敷牢だね」 「孝之が使うかもしれないんだ、うんと豪華で快適にしておいた」  そうして迎えの車が来ると正人は俺を、女の子にするみたいにエスコートして乗せた。俺は下校しようとしている周囲の生徒の視線が痛かった、でも正人はそんな視線など全然平気なようで、俺と一緒に帰るのが嬉しいのか凄くご機嫌だった。そうして車はやがて神里家へ着いた、いつ来ても大きな家で日本庭園や倉まであるのだ。俺はまた正人のエスコートで車から降ろされた、それから出会う神里家の使用人は皆が口をそろえて笑顔で言った。 「ようこそ西風孝之様、正人様のご婚約者!! どうぞわが神里家でおくつろぎください!!」 「あっ、ありがとう。皆」  俺はこうやって正人の家に来る度に歓迎を受けていた、普段から正人が俺のことを大事にしろと言っているのだろう、誰一人として俺の訪問を嫌がる人はいなかった。そうして俺は神里家にある俺の部屋に入った、中には俺の好きな物が山のようにあって、どれも綺麗に陳列されていた。でも、ベッドだけは部屋になかった、神里家に来た時には俺は正人のベッドで、もちろん正人と一緒に眠ることになっていた。 「食事も相変わらず豪華だね、正人」 「孝之が来るとすぐに連絡したからな、好きなだけ食べるといい」 「やっぱり男子高校生ならお肉だよな、この豚カツもさっくさくで美味しい」 「それは良かった、孝之。何でも自由に食べるといい」 「でも全部は食べきれないよ、残しちゃうのが勿体ないな」 「それはいつもどおり僕が食べるから大丈夫だ、遠慮せずに孝之は好きなだけ食べるといい」 「うっ、うん、ありがとう。正人」 「どういたしまして、孝之」  正人と二人で食べる夕食は変わったルールがあった、まず俺が好きなだけご飯を食べると、正人が俺が使った箸や茶わんを使って残りを食べるのだ。俺はどう考えてもおかしいだろと思っていたが、正人がこうしないと納得しないのだった。だから俺はいつも半分、半分ずつ食べるようにしていた。そうやってご飯を食べながら、俺は正人のご両親について聞いた。 「正人のご両親は? また仕事?」 「いや、今日は帰って来ている」 「それじゃ、俺はご飯を食べたら挨拶にいくね」 「僕がご飯を食べ終えるまで待ってろ、両親に何か話があるのか?」 「うん、まぁちょっとね」 「それじゃ、僕も聞こう。一言だって孝之の言葉は、僕は聞き逃したくない」 「いや、僕と正人のご両親だけでお話したい」 「どっ、どうして僕が一緒に入ったら駄目なんだ」  俺は正人に散々聞かれたが話す内容は教えなかった、正人は機嫌が悪くなって俺の食べ残しを食べていた。そうしてご両親の部屋の前まではついてくると言うので、仕方なく俺は正人と一緒に正人のご両親の部屋に行った。そして、俺は正人のご両親と会ったが小声で話をした。 「お久しぶりです、おばさん、おじさん」 「あら、孝之ちゃん。来てたのは知ってるわ、そんな小声で何の相談かしら?」 「おお、孝之くん。また背が伸びたな、正人が悔しがっている。それで何の相談かな?」  正人の両親は好意的に俺の話を聞いてくれた、二人とも笑顔で相変わらずの仲良し夫婦だった。俺は体の力を抜いて椅子に座って、そうして小声のまま気軽に正人のご両親に相談した。 「実は正人の婚約者を辞めたいと思って……ってどうしたんですか!? 携帯のマナーモードみたいになっていますよ!!」  俺が正人の婚約者を辞めたいと言った瞬間、正人のご両親は携帯のマナーモードのようにガタガタ震え出した。そうして障子の向こうの正人に聞こえないように、正人のご両親は小声で話し始めた。 「どうしたの、うちの正人がとうとう何かした!? 絶対に駄目よ、正人の婚約者を辞めるなんて駄目!!」 「孝之くんもよく考えて出した結論なのだろうが、正人の婚約者を今更辞められたら困る!!」  俺は何故かガタガタと震えだして顔色が真っ青になってしまった、正人のご両親のことを不思議に思ったが、俺としては正直に婚約者を辞めたい理由を小声で話した。 「いや、俺いつまで経ってもヒートが来ないし、本当は可愛い女の子が好きだし、正人のことは嫌いじゃないけど好きでもないから」 「ヒートなんてこなくてもいいから正人のお嫁さんになって、お願い!!」 「女の子が好きなら愛人を作ればいい、とにかく君に正人の婚約者を辞められたら困る!!」  俺は正人のご両親なら婚約者を辞めることもすぐに認めてくれる、そう思っていたから困ってしまった。俺が何を言っても正人のご両親は俺の待遇改善を口にするばかりだった、女の子の愛人まで作って良いと言われたが、果たしてそんなことをプライドが高い正人が許すだろうか、俺は困り果ててどうしていいのか分からずに頭を抱えた。その次の瞬間だった、すぱーんと正人が障子を開けてこの部屋に入ってきた。 「なるほど、孝之はヒートが来ないことを気にしている、でも僕の婚約者にそんな些細なことは問題にならない。それから女の子の愛人が欲しいんだな、こちらで選りすぐり可愛い女の子を用意しよう。僕のことが嫌いじゃないなら、まだ僕にも可能性があるな!!」 「正人、全部聞いてたの!?」  俺と正人のご両親はいきなり入ってきた正人を見て、正人のご両親はまたガタガタと震えて二人で抱き合って身を守ろうとしていた。 「父さんは僕に頼んでいたあの事業、自力で進めてください。母さんはもっと孝之を可愛がってくれないと困る、お仕置きが必要だ。そんなだから孝之が母さんに、こんな酷い相談をするんだ」 「そっ、そんな、正人。あの事業を今放りだされたら困る!! 放りだすなんて止めてくれ!!」 「孝之ちゃんを可愛がっているわ、本当よ。だからお仕置きはしないで!!」  そうやって正人は両親に言った後、呆然と立っていた俺に向かって話しかけてきた。俺に向かって口元だけにっこり笑って、何を考えているのか分からない瞳で話しかけてきた。 「でも孝之が僕にキスしてくれたら、孝之に相談された母さんと父さんを許しちゃうかも」  俺は正人のご両親からキスして、キスとジェスチャーと口パクで合図された。俺は正人のご両親に迷惑をかけたみたいなので、仕方がなく孝之に近づいてその左頬にキスをした。すると孝之は上機嫌になって、両親に向かって笑顔で事業を進めること、それにお仕置きはしないことを伝えた。俺は上機嫌になった孝之に、孝之の部屋に連れていかれてベッドに押し倒された。そして、孝之はこう言った。 「女の子の愛人が欲しいなんて、孝之はたまっているんだろ、今僕がそれを解消してあげる」 「うわぁ、正人!! ズボンの前を開けて、下着をずらして、俺のものに触らないで!!」  正人は俺をベッドに押し倒したら、俺のズボンの前のチャックを下げ始めた。俺は抵抗したが正人は凄い力だった、そうして正人は俺の下着をずらして、俺のものを外にだして眺め始めた。 「ああ、孝之のもの綺麗だ。まだ孝之以外は誰も触ってない孝之のもの、今僕が気持ち良くしてあげるから」 「ちょっと正人、そんなところ舐めないで!! 口の中に咥えるのも止めて!!」  正人は俺のものをうっとりした顔で見ていたと思ったら、舌を使っていやらしく舐め始めた。それに俺のものが刺激に反応して固くなってきたら、正人は今度は口の中に咥えて口中で愛撫しだした。俺はそんなことされたことがなかったら、あまりの気持ち良さに腰が動きそうになった。 「やぁ!! 正人そんなに舐めないで、口の中も温かくて気持ち良くて、俺いっちゃう!!」 「ああ、可愛い孝之、凄く可愛い孝之。僕の口の中でいって、僕に孝之の精液を飲ませて!?」  とうとう僕は気持ちが良くて正人の口の中に射精してしまった、ごくりごくりと正人がその精液を飲み込んでいた。それで終わったと思ったのに、正人はまた俺のものを舐めたり、口に咥えたりして刺激を与えた。正人の舌も口の中も気持ちが良くて、俺はすぐにいきそうになった。 「いやいやいや!! 正人、俺はもういきたくない!?」 「孝之の嘘つき、ほらっ、まだ精液がたまってる。僕の舌と口の愛撫で外に出たがっているよ」 「いや、もういいから、正人。止めて、もう俺のものをいやらしく舐めたりしないで!!」 「それじゃ、口に咥えるのはいいんだ。んん、凄く固くなってる。ふふっ、ビクンビクンしててもう出そう」  俺は気持ち良くて我慢できなくなって二回目の射精をしてしまった、正人はまたごくりごくりと美味しそうに。俺の精液を飲み干してしまった。それから俺の精液に対してこんなことを言うのだから、俺は恥ずかしくて仕方がなかった。 「はぁ、孝之の精液の匂い。それに孝之のフェロモンの匂いだ、精液も甘くて美味しい!! ああ、凄く興奮する!! まだ足りない、全然足りないよ、もっと僕に孝之の精液を飲ませて!!」  そう言って正人は俺のものを放してくれなかった、またいやらしく舐めて温かい口の中に咥えて、そうして俺は精液が出なくなるまで正人からの愛撫を受け続けた。そして俺の精液が出なくなったら正人は満足そうに唇を舐めた、まるでまだ飲み足りないというように柔らかくなった俺のものに頬ずりしていた。そして、正人はこう言いだした。 「女の子の愛人は用意するけど、これから毎日僕が孝之の精液を飲んであげる。ふふっ、女の子の愛人なんて出番があるかな?」 「そんなの俺は嫌だよ!! 毎日フェラなんてしなくていいよ、正人!! そんなことしたら嫌いになるぞ!!」 「好きでも嫌いでもないから、嫌いになるのか!? それは嫌だが、孝之のものを女の子の愛人に入れるのはもっと嫌だ。だから、これからは毎日僕が孝之にフェラをする。もしそれで精液が余れば女の子の愛人を使えばいい」 「いやいやいや、さっきみたいにしつこくフェラされたら余らないだろ!! 一体何回飲み込んだんだ、気持ち悪くはないのか!?」 「孝之の精液は甘くてとても美味しい、孝之のフェロモンも混ざっているから尚更美味しい!!」 「いや、あんなもの飲んでも美味しいわけがないだろ!?」  俺がそう言うと正人は不思議そうに首を傾げた、本当に俺の精液を甘くて美味しいと感じているようだった。 「正人、お前は味覚異常だ。お抱えの医者がいたよな、その先生に診て貰え」 「孝之が僕の体の心配を!? 分かった、異常なんて無いと思うが医者に診てもらう」  正人は俺に心配されて嬉しそうに顔を赤くした、きちんと医者にも診て貰うと言った。それから正人はこんなことも言ってきた。 「孝之も僕の精液を飲んでみない?」

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